2021年3月30日(火)
きょうの潮流
クーデターで権力を握ったミャンマー国軍が市民への弾圧を強め、子どもまで銃撃する事態となる中、愛知県の加藤康弘さん(48)から「大切な友人であるミャンマーの人たちの姿を知ってほしい」と、自身の書いた小説2編が届きました▼元吉良町議で文学運動にも携わる加藤さんは2000年ごろから、日本に逃れて来たミャンマーの人々と交流してきました。民主化運動をたたかい亡命した彼らの体験に衝撃を受け、難民申請を手伝い、入国管理局に連行された青年のために奔走しながら、その実情を小説にしました▼05年に書いた「チェーズー ティンバーデー(ありがとう)」(『海光る』収録、ほっとブックス新栄)は、母国の民主化を求めて日本で活動する青年と、家庭が崩壊しホームレスになった少女の物語。逮捕され拷問を受け、家族が引き裂かれても希望を失わない青年の生き方に、少女は自らの尊厳に目覚めます▼作品では、実際にミャンマーで歌われている曲「恩返しをさせてください 母さん」「愛する人へ」や、仲間で囲むミャンマー料理も紹介され、かの地の暮らしや文化がしのばれます▼「黄金の国」(『民主文学』14年5月号)は、07年の反政府デモに一緒に参加した親友が軍に捕まり、一人で日本に渡って来た青年が主人公。悲しみの底で周囲と友情を育んでいく様子が描かれます▼「こうしている間にも犠牲者は増え続けている」と加藤さん。民主主義を取り戻そうと苦闘する友人たちとの連帯の道を探っています。








