2021年3月29日(月)
きょうの潮流
イギリス王室のハリー王子の妻、メーガンさんが、息子が生まれる前に「生まれてくる子どもの肌がどれくらい黒くなるか」という話が王室のなかであったと、先日発言しました▼彼女の父親は白人で、母親がアフリカ系米国人。英王室は、内容は懸念され、深刻に受け止めているとコメントしました。かつて広大な植民地をもっていた英国は今、黒人が約190万人、非白人が人口の十数%を占めます▼『ドリトル先生アフリカへ行く』(角川文庫。岩波少年文庫)では、アフリカの王子の望みをかなえるため、ドリトル先生が薬で顔を白くする描写が人種差別と問題にされてきました。著者は、1886年生まれの英国の児童文学者、ヒュー・ロフティング▼動物語が話せる医者のドリトル先生が、感染症にかかったアフリカのサルを救いに行く、思いやりと助け合いの精神に満ちたおもしろい物語です。それだけに黒人の取り扱い方にはどきりと▼『大英帝国の黒人』の著者・ピーター・フライヤーは、児童文学で示した人種的偏見は数世代にわたって幼い黒人の心を傷つけていると指摘します。もし作者が今生まれたならば、人種差別に反対しただろう。『ドリトル先生』の下訳をした作家・石井桃子さんの推測です▼昨年、植民地主義者や奴隷貿易商の像に批判が高まり、撤去が相次ぎました。子どもたちが、奴隷制度や人種差別を受けた黒人の苦悩の歴史を学び、考える機会があれば、差別のおかしさに気づいて乗り越えられるでしょう。








