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2021年3月23日(火)

ダイヤモンド・プリンセス元乗客ら

過酷な隔離 生かせ教訓

検証求め連絡会

 新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの元乗客らが、原因究明と検証を求めて全国連絡会を結成しました。その思いは―。(武田祐一)


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(写真)ダイヤモンド・プリンセス号で客室に食事(左下)を配膳する職員=2020年2月7日(千田忠さん提供)

 元乗客らが結成したのは「ダイヤモンド・プリンセス号集団感染事故の検証を求める全国連絡会」(共同代表・千田忠さん、平澤保人さん)です。

社会の縮図

 千田さんは、2020年1月20日に横浜を出港し、アジアの港をめぐる15泊16日の船旅に参加しました。

 2月3日、横浜港に到着したものの、新型コロナウイルス感染者が出たため、下船できず、検疫のため14日間の「隔離」をさせられました。「ツインのベッドを含めて7畳くらいの船室。食事も部屋に届けられ、外に出られませんでした」

 千田さんは同船での新型コロナ感染拡大の状況は「社会の縮図」のようだと振り返ります。「3700人もの乗客乗員が密集空間で生活していました、過去にも船内の感染爆発が起きたことを知っていましたので、運航途中で新型コロナのニュースを聞くたびに不安な気持ちでした」

 感染者集団発生から1年以上経過しているにもかかわらず、旅客船を運航するカーニバル社(米国)から何の説明もありません。同会は、同社に事実経過の説明を求めています。

 千田さんは運航会社や国の対応を、「船内では、感染予防の正確な説明はありませんでした。PCR検査は当初、発熱やせき症状がある人だけ。検査の体制も不備だ」と批判します。

 共同代表の平澤さんは、昨年2月18日深夜まで船内に「隔離」されました。「乗員も被害者なのに、乗員への感染予防対策や救済措置がとられていない」と話します。

法的根拠は

 疑問に思うのは、自分たちが2週間も船内に「隔離」された法的根拠です。「検疫法なのか、感染症法なのかはっきりしていない」

 平澤さんは、ダイヤモンド・プリンセスの経験は新型コロナ感染症対策に生かすべき教訓がたくさんあるとして、「今こそ事故の原因究明と検証が必要だ」と訴えます。


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 ダイヤモンド・プリンセス号事件 昨年2月1日、乗客だった男性の新型コロナウイルスへの感染が確認された後、船内で集団感染が発生。乗客乗員約3700人中、712人が感染し、50人が重症、オーストラリア帰国後に亡くなった1人を除き、13人が亡くなりました。乗客は14日間、客室に「隔離」されるなど過酷な状況に追い込まれました。


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