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2021年3月23日(火)

米軍訓練基地計画 馬毛島アセス 縮小か

基地と一体の外周道路除外

防衛省 早期着工狙う

 鹿児島県西之表市の馬毛島への米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)移転に伴う基地建設計画で、防衛省が環境影響評価(アセスメント)の対象を意図的に縮小している疑いが浮上しました。昨年8月、西之表市に提出した基地の施設配置案に含まれていた外周道路について、2月19日から18日まで縦覧されていたアセス方法書ではアセス対象から除外しました。


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 鹿児島県環境影響評価条例では、4車線6キロ以上の道路はアセス対象としています。防衛省熊本防衛支局によると、外周道路は約13キロで幅は4~8メートル。双方向通行ですが、砂利を敷くだけで「車線はない」としています。

 事業主は熊本防衛支局で、3月中に業者と契約を完了する予定です。着手時期は未定としていますが、工事の契約期間は4月から24カ月間。通常1~2年以上かかるアセスが行われないうちに着工する狙いです。

 道路工事は、「馬毛島の大規模な国有地を良好な状態で維持・保存し、適正な方法で管理するために実施する」としたうえで、「管理用道路と恒久的なFCLP施設建設とは事業として一連性がない」としています。

 ただ、外周道路は基地に沿って造られます。熊本防衛支局は、「工事車両が通らないとはいわない」とし、完成した道路を自衛隊車両や米軍車両が使用することも否定していません。基地との一体性は明らかです。

 外周道路の建設で、島の固有種マゲシカの生息域を分断し、沿岸部の生物に影響を与える可能性もあります。このため、複数の専門家から、外周道路をアセス対象に含めるべきとの声が出ています。

 一方、鹿児島県は「外周道路は、県の環境影響評価条例で対象としている一般国道と県道、市町村道、林道、農道ではなく、県環境影響評価条例の対象ではありません」との見解を示しました。

 馬毛島の基地建設をめぐっては、16日の日米防衛相会談で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設と並んで、「緊密な協力」を確認しています。


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