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2021年3月21日(日)

きょうの潮流

 1970年代の米南部の繊維工場で賃上げと過酷な労働環境の改善を求め、労組結成を組織した女性がいました。その実話から生まれたハリウッド映画「ノーマ・レイ」(79年)。主演サリー・フィールドが数々の映画賞に輝いた社会派の名作です▼クライマックスは、労働者の投票でした。投票は団結権を確立する手だての一つ。主人公ノーマは解雇され、支援にきた労組活動家とともに工場の外で見守ります。そこに賛成多数の朗報が―▼ほぼ半世紀を経て、同じく南部のアラバマ州ベッセマーで今、組合結成をかけたたたかいが続いています。相手は、ネット通販大手のアマゾン。投票の締め切りは3月末です。成功すれば米国のアマゾンで初に▼コロナ禍での通販需要の大きな伸びで、膨大な利益を上げてきたのが創業者のジェフ・ベゾス氏。この間のもうけは世界中の全従業員87万人に1人1000万円の賞与を支払えるほどです。一方で、労働者はコロナへの装備もなく働かされました▼「効率の追求はうんざりだ」。そういって数人が立ち上がったのは昨夏のこと。労働者3分の1にあたる2000人が請願に署名した昨年末、投票実施が決まりました▼各地の配送センターで組織化の芽を摘み取ってきたアマゾン社。投票にこぎ着けたこと自体、労働運動の大成果とも。ベッセマーでは、近くの工場で働いていた黒人労働者が組織者となっています。反労組の風土の強い南部で立ち上がった人々。歴史をつくる労働者の姿が脈々と―。


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