2021年3月17日(水)
きょうの潮流
中国の故事に「伴食宰相(ばんしょくさいしょう)」という言葉があります。伴食とは主客のお供でごちそうになること。そこから転じて、高い地位にありながら、実力の伴わない無能な大臣を指したものです▼さしずめ、今は会食宰相、会食官僚か。歴代の政務三役までひろがった総務省の接待問題。菅首相の長男が勤める東北新社をはじめ、利害関係のある相手と何度も会食した目的は何か。核心をごまかそうとする姿が国会でも露骨に▼NTT社長らとの会食の有無さえ答えない武田総務相は同じフレーズを何度もくり返す。「意見交換」と言い訳にもならない答弁に終始する。これでは行政をゆがめた疑いは深まるばかりです。そのうえ相手側の説明と食い違うと記憶にない、記録も残っていないと▼政治を自分や身内、親しき者の所有物であるかのように扱う。安倍政権下で散々見た森友や加計、桜疑惑とまったく同じ光景です▼その継承を掲げる菅政権が発足してから半年。改めて首相は結果を出すことを強調しました。しかし、この間の結果は何を示すか。最大の課題であるコロナ対策は「後手」「戦略がない」と批判され続け、GoToで感染拡大。主導したのは学術会議の任命拒否。外交では甚だしい米国追従ぶりも▼なにより深刻なのは、国民が苦境にあえいでいるなかで、政権のありさまが政治への信頼を失わせていること。秋までに総選挙が行われる今年は、こんなおもてなし政治を変えるチャンスです。あぐらをかいた伴食宰相を一掃するためにも。








