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2021年3月1日(月)

きょうの潮流

 ふだん、なにげなく使っている言葉でも由来までは知らないことも。いったん良くなったものが元の好ましくない状態に戻る。そんな意味をもつ「元の木阿弥(もくあみ)」もその一つでしょうか▼起源は戦国時代。大和の武将、筒井順慶が幼いころ父が病死。それを隠すため、声の似た木阿弥という男を影武者に仕立てる。しかし順慶が長ずるに及び、木阿弥は元の市人の身分に戻ったとの故事から。諸説あるものの辞典の例に挙げられています▼関西など6府県で緊急事態宣言が解かれました。「ここで気を抜けば元の木阿弥になる」。医師会や自治体の長をはじめ、市井の人びとからは不安や心配の声が相次いで上がっています。ふたたび、波を引き起こさないかと▼新規感染者の減少傾向は鈍り、医療現場の逼迫(ひっぱく)は続き、死者の数も多い。さらに変異ウイルスへの警戒もある。何よりも昨年の悪夢がよみがえります。いちどは抑え込みながら、その後の対応を怠ったうえにGoToで感染を拡大させた失政を▼先行解除を決めた日に通例の記者会見を開かず、ぶら下がりで応じた菅首相。こうした懸念に答える姿勢は皆無でした。ていねいな説明どころか「基準はクリア」の一点張り。専門家の危惧について問われると、いら立ちさえも▼首都圏の宣言解除の判断も迫ります。検査、医療、補償を柱とした感染を抑える戦略もなく、成り行き任せ。その間に、国民や国はどんどん疲弊していきます。この政権は、いつまで「元の木阿弥」をくりかえすのか。


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