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2021年2月28日(日)

悪質商法被害 拡大の恐れ

政府改定案に34団体「反対」

契約書の細かな中身 スマホで確認させる?

 政府は今国会に特定商取引法と商品預託法の改定案を提出する予定です。両法は訪問販売などでの悪質商法から消費者を守るもので、現在は契約書類の紙での交付が義務とされています。しかし、改定案では、消費者の承諾があればメールなどの“電子化”を認めることが盛り込まれようとしています。全国消費者団体連絡会や全国消費者行政ウォッチねっと、日本弁護士連合会など、34団体が「消費者被害が拡大する施策だ」などと反対を表明しています。(矢野昌弘)


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(写真)約300人の参加者にオンラインであいさつする畑野君枝衆院議員=24日、東京・千代田区内

 この問題の緊急集会(24日)で報告した池本誠司弁護士は、消費者庁の検討委員会でも議論になく、また過去には否定していた書面交付の“電子化”が、昨年末から不意打ちで浮上したことを告発しました。

解約機会逃す

 紙での交付について池本氏は「契約直後にそれを書面で確認して『これはまずい』と思えば、すぐに解約できるクーリングオフにつなげている。不利な内容に気づいてない人に積極的に気づいてもらう制度だ」と指摘。「業者の説明を信じた人が数ページにわたる契約書の細かな中身を手のひらに乗るタブレットの画面を読んで確認できるでしょうか」と問いかけました。

 全国消費生活相談員協会の石田幸枝さんは、相談事例から“電子化”で想定される問題を紹介しました。

紙は証拠にも

 集会には、日本共産党の畑野君枝衆院議員はじめ立憲民主、国民民主、社民党の国会議員らが参加しました。畑野議員は「高齢者が被害にあったジャパンライフや安愚楽牧場などでも家族が紙の契約書で被害に気づき、重要な証拠にもなった。電子化すれば新たな手口での被害を生む」と批判しました。


■相談事例から“電子化”で想定される問題

事例(1) カード会社から父へ60万円の請求書があった。父は「通話アプリで知り合った人から、仮想通貨などの情報商材を勧められ、購入した。ネットの操作がわからず、やめたい」といっている。

 高齢者はスマートフォンの操作に不慣れなため、書面のオンライン交付やマイページに送っても確認できず、クーリングオフの機会を逸する人が出かねない。

事例(2) 「毎月20万円が初期投資なしでもうかる」といわれ、マニュアル代金9万円を払った。送られてきたPDFに書かれた内容と話が違うのでやめたい。

 こうした連鎖販売取引は概要・契約書面の交付が必要で枚数は多くなる。小さなスマートフォンでの確認は容易でなく、プリンターを持たない消費者も多く、契約内容を確認しないままになりかねない。


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