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2021年2月9日(火)

きょうの潮流

 最近、「明けない夜はない」という文句を時どき見聞きします。人気アイドルグループの歌にも使われています。コロナ禍の苦難を乗り越えたい強い思いを感じます▼題名が、『明けない夜はない』という本があります。著者は、戦前山形の小学校で教員となり、獄中の夫を支え、戦後は母親運動で活躍した村山ひでさんです。1969年に出版、版を重ね多くの読者を得ました▼夫は、生活綴方(つづりかた)教育の実践で知られる村山俊太郎(としたろう)。治安維持法違反で2回逮捕、検挙されました。結核で保釈されるまで2年間、獄中にいた夫を“こんな世の中がそう長く続くはずがない”と励まし続けた言葉が「明けない夜はない」でした▼終戦を迎えた時の心境をこうつづっています。「暗闇の戦争のなかで生きてきたわたしたちに、その苦しみの根元である巨大な天皇制の権力がどっとくずれ、一度に太陽がさんさんと照り輝いた」▼19世紀の米国では黒人奴隷が、「夜明け」をめざしました。カナダとの国境を越える出発地と到着地を「ミッドナイト」(真夜中)、「ドーン」(夜明け)と暗号を使って逃亡を計画。南北戦争前に約3万人の奴隷が自由に▼東日本大震災で津波に襲われ、屋上の倉庫に避難した宮城県山元町の小学校でのこと。52人の児童を前に校長先生が言いました。「今夜はここに泊まります。食べ物はありません。水もありません。とても寒くなります。でも朝までがんばろう。暖かい朝日は必ず昇るから」。夜明けは、希望そのものでした。


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