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2021年2月4日(木)

論戦ハイライト

特措法・感染症法改定 田村議員が厳しく批判

罰則より不安に応えよ

 日本共産党の田村智子議員は3日、参院の内閣委員会・厚生労働委員会の連合審査会、内閣委員会で、新型コロナ対応の特措法、感染症法に盛り込まれた罰則導入を厳しく批判し、撤回を迫りました。


感染症法

“感染したら罪”と差別に 抑止への協力難しく

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(写真)質問する田村智子議員=3日、参院連合審査会

 田村議員は、内閣委員会・厚生労働委員会の連合審査会で、感染症法改定案が新型コロナ患者の入院拒否事例を調査する前に国会提出されたとして、まともな立法事実もないまま罰則導入を狙う政府を追及しました。

 田村憲久厚労相が「世論に(罰則導入の)意見が多い」と述べたのに対し、田村氏は「感染したら罪というような差別や攻撃がある」と述べ、罰則導入がそれを助長することになると指摘しました。

 感染症対策のうえでも、保健所の患者対応は最初から“うそをつけば罰則だ”となり、信頼関係や感染抑止への協力を得るのは難しくなると指摘しました。

 厚労相 政府・与野党連絡協議会にまず(法案の)考え方を示した。異例の立法手続きを踏んでいる。

 田村 協議会では野党の意見を聞き流した。感染をまん延させない責任は患者に押し付けるのではなく、国や自治体がどう対策するかだ。

 さらに田村議員は、コロナ患者用の病床確保の勧告に応じない病院名を公表する社会的制裁で病床確保が進むのかとただしました。

 田村議員は、▽小規模な医療機関ほど動線確保などが困難で患者の受け入れができない▽民間病院は小規模な200床未満が9割超で、新型コロナ患者受け入れの条件がないところが多い―と指摘。昨年の緊急事態宣言後に減収補填(ほてん)を行い、病床確保を進めるなど「政府自らの努力」こそが必要だったと批判し、民間病院をやり玉にあげるやり方はやめるよう迫りました。

特措法

「まん延防止等重点措置」曖昧な基準をただす

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(写真)質問する田村智子議員=3日、参院内閣委

 田村議員は参院内閣委員会で、緊急事態宣言前から出せる「まん延防止等重点措置」について追及しました。現行特措法でも「宣言」発令前から協力要請が可能である一方、「重点措置」では要請に応じない事業者に罰則を科すことができると指摘。措置を講じる基準について説明を求めました。

 田村 (罰則を科すほどの)強力に措置を講じなければならない事態とはどういう状況か。

 西村康稔経済再生担当相 基本的にはステージ3(感染急増)の段階でそういった措置をとることを考えている。

 田村議員は、今回の「宣言」に至る過程で政府は東京に関しステージ3の判断をせず、いきなりステージ4(感染爆発)を出したとして、「去年のいつの時点が重点措置にあたるのか」と質問。西村氏は、ある地域で急拡大した感染が全国へ広がり病床逼迫(ひっぱく)を招く、さらに全国的かつ急速な蔓延(まんえん)につながるケースを想定していると曖昧な説明に終始しました。

地域の分断など起こりかねない

 田村議員は、東京・新宿の飲食店などが昨年の緊急事態宣言以降、長期の営業自粛・時間短縮を強いられてきたと指摘。「ずっと悩みながら苦しんでやってきたところに、区域を限定して罰則をつけるのか」とただしました。

 西村担当相は罰則の影響について答えないまま。田村議員は「宣言」後でも「重点措置」がとられれば「宣言」が続くのと同じだと指摘した上で、次のようにただしました。

 田村 人の流れがぐっと落ち込み、罰則付きで要請すれば、地域の分断などさまざまな問題が起こりかねないではないか。

 担当相 事業者の理解を得ながら丁寧に進める。重点措置でできるのは時短要請までだ。

 田村 これまでは協力要請。罰則で取り締まることになれば自治体と事業者の関係も変わってしまう。

感染による休業 違法解雇は指導

 田村議員は、昨年5月に営業店舗の110番通報が増えたとの報道にふれ、罰則を創設すれば自治体・保健所業務逼迫につながる恐れがあるとして、「感染症対策の実効性を失わせる」と批判しました。

 田村議員は、感染や濃厚接触で休んだことを理由にした解雇が相次いでいるとして「違法であり是正指導すると明言を」と追及。厚労省の小林洋子審議官は「新型コロナの療養のために休業する期間、その後の30日間に解雇した場合は違反になる。法違反が認められた場合は是正指導する」と語りました。

 田村議員は、感染などで休業した際、自営業者などは所得保障がなく困窮すると指摘。早急な対策を求めました。

 田村 実効性ある感染症対策として検討すべきではないか。

 正林督章健康局長 個人事業主は所得保障として妥当な支給額の算出が難しく、支給対象とするのに課題が大きい。

 田村 対策がない。罰則ではなく不安に応えるべきだ。

 家庭内感染が問題となる中、田村議員は、感染症法で行政による療養施設の確保を努力義務とするのは不十分だと指摘。「やるべきことをやらず『Go To』も続けた。その反省もなく患者や事業者に責任を押し付けるような法改定は間違っている」と強調しました。


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