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2021年1月9日(土)

主張

3次補正予算案

直接支援の拡充につくり直せ

 新型コロナウイルス感染の深刻な拡大を受けて政府が緊急事態を再び宣言したことで、2020年度第3次補正予算案の中身が改めて問われます。感染対策と銘打ち、一般会計の追加歳出21・8兆円という大規模なものです。しかし、直接支援を打ち切るなど、感染の収束が前提です。緊急事態が宣言されるほど切迫した状況に見合ったものではありません。菅義偉政権は大至急、予算案をつくり直し、直接支援を継続、拡充するものにしなければなりません。

国民の願いに全く逆行

 3次補正は18日に召集される通常国会で審議されます。感染拡大防止策は全体で4・4兆円しかなく、国民の願いに逆行しています。地方創生臨時交付金の追加や、直接のコロナ対応を行う医療機関向けの緊急包括支援交付金の拡充が盛りこまれたものの、目の前に迫っている感染爆発の危険に対処するにはまったく足りません。医療機関の減収補填(ほてん)はなく、PCR検査の拡充に必要な全額国庫負担の予算もありません。

 営業時間の短縮を要請される飲食店をはじめ中小・小規模事業者が営業存続の危機に直面しているのに、持続化給付金、家賃支援給付金は15日で申請の受け付けを終えて打ち切ることにしています。民間信用調査会社によると、コロナによる企業の経営破綻はこのところ毎月100件前後です。緊急事態宣言の再発令が事業継続を断念する「最後の一押し」になりかねないとすら指摘されています。直接支援を切り捨てることなど許されるはずがありません。

 2月末で縮小するとしている雇用調整助成金の特例措置は、大幅な延長と拡充が不可欠です。

 3次補正で「Go To キャンペーン」を6月末まで実施するとしているのは大問題です。感染抑止に逆行するため停止せざるをえなくなった事業に予算をつけるべきではありません。

 デジタル化の推進など「ポストコロナ」を名目として「経済構造の転換」に11・7兆円を計上し、大企業支援や巨大開発を進めます。3867億円の軍事費を計上し、7割以上が兵器購入の前払い経費です。コロナ対策に名を借りた軍拡です。いずれも感染抑止にとって不要不急の予算です。

 3次補正には、感染抑止に政府として全力を尽くそうという立場が完全に欠落しています。菅首相が緊急事態宣言にあたって「国民のみなさんの協力をいただきながら、なんとしても難局を乗り越えていきたい」と言うのは口先だけでしょうか。政府がなすべきことは、一人も取り残さない、どんな事業者もつぶさない姿勢を具体的に示すことです。

要請に応じられる規模を

 十分な補償がなければ事業者は営業自粛の要請に応じられません。1日最大6万円の協力金ではとても足りません。金額を事業所の規模に即して増やすなど、事業を継続できるお金を政府の責任で支給する必要があります。

 持続化給付金、家賃支援給付金は、1回だけの支給では2度目の緊急事態に対応できません。制度を継続するとともに、何度でも支給すべきです。雇用調整助成金の特例措置の延長は当然です。非正規労働者向けの休業支援金の対象を大企業に拡大し、要件を緩和することも求められます。


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