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2021年1月5日(火)

危機をのりこえ、希望ある新しい日本をつくる年に

党旗びらき 志位委員長のあいさつ

 日本共産党の志位和夫委員長が4日の党旗びらきで行ったあいさつは次のとおりです。


 お集まりのみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、2021年、明けましておめでとうございます。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く緊張した状況下での新年となりました。今年を、この未曽有の危機をのりこえて、すべての国民が安心して、希望をもって暮らせる新しい日本をつくる年にしていきたい。その決意を込めて、新春にあたってのあいさつを行います。

一、コロナ危機をどう打開するか――二つの根本的転換を求める

 いま新型コロナ危機は、たいへん深刻な局面を迎えています。

 感染拡大が止まりません。重症者が増え、多くの地域で医療が崩壊の危機にひんしています。こうしたもと、東京都と首都圏3県の知事が、政府に緊急事態宣言の発出を要請するという事態にまで立ち至りました。

 これらは菅政権が無為無策と逆行を続けてきた結果であり、その責任はきわめて重大です。感染拡大は、“菅政権による人災”というほかないものであります。

 安倍・菅政権によるコロナ対応には、端的に言って二つの致命的欠陥があります。危機を打開するためには、従来の対応の根本的転換が急務になっています。

科学の無視――「検査・保護・追跡」という科学的大原則にたった取り組みを

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 第一の致命的欠陥は、科学の無視であります。それは人口比で直近の数字で、世界149位というPCR検査の異常な遅れに象徴されています。

 なぜこんなに遅れたか。新型コロナの一番やっかいなところは、無症状の感染者が知らず知らずのうちに感染を広げてしまうところにあります。ところが政府は、無症状者を把握・保護するという検査戦略を持とうとしません。もっぱら「クラスター対策」をいいますが、これは症状のある人を中心とする感染集団を見つけて、そこからさかのぼって接触者を追跡するという、いわば「点と線」の対策です。これだけではその外にいる無症状者を把握することはできません。

 これを根本からあらためて、「検査・保護・追跡」の抜本的拡充という感染症対策の科学的大原則にたった取り組みが必要です。

 日本共産党は、感染集積地(エピセンター)を明確にし、「面の検査」――その地域の住民や働く人の網羅的検査を行うこと、医療機関・高齢者施設等への「社会的検査」を行うこと、この二つの点で、無症状者を含めた積極的な検査戦略への転換をはかることを強く求めてきました。感染追跡を専門に行うトレーサーをはじめ、保健所体制の抜本的強化を求めてきました。今からでも、こうした方向への政策転換が必要だということを、私は、声を大にして訴えたいと思うのであります。(拍手)

 とくに市中感染がこれだけ広がってしまっている現状では、ハイリスクの人を感染から守る「社会的検査」に大きな力をそそぐ必要があります。医療機関・福祉施設での集団感染は、厚生労働省の調査でも全国でこれまでに1218件と多発しており、重症者を減らすうえでも、「社会的検査」はまさに急務中の急務となっています。

 すでに住民運動やわが党地方議員団の奮闘もあり、全国各地の自治体で「社会的検査」が始まっています。世田谷区では、高齢者施設等への「社会的検査」をのべ309施設で行い、5421人を検査し、55人の陽性者を把握しています。その大多数は無症状者であり、保坂区長は、「もし社会的検査に取り組んでいなかったら、無症状の感染者から感染がまん延し、手に負えない状況になっていたかもしれない」と語っています。「社会的検査」は現に高齢者の命を救う重要な成果をあげていることを強調したいと思います。

 「社会的検査」の重要性は、政府も否定できなくなり、自治体に対して事務連絡などで実施を促しています。しかし、「検査の費用の半分は自治体持ち」という問題点が是正されておらず、自治体が検査拡大に二の足を踏む重大な原因となっています。私は、政府に言いたい。この期に及んで、予算を出し惜しんでどうするのか。みなさん、自治体がちゅうちょなく取り組めるよう、全額国費で「社会的検査」を行う仕組みをつくり、医療機関と高齢者施設を守れ――このことを強く求めていこうではありませんか。(拍手)

 感染拡大に拍車をかけた「Go To」事業は、科学無視の最たるものであります。国民的批判が広がり一時停止に追い込まれましたが、菅首相には反省のかけらもありません。首相は、年末の記者会見でも「Go To」は感染拡大と関係がないと強弁し、赤羽国交大臣は、可能な限り12日から再開すると表明しました。感染拡大のもとでの再開などまったく論外ではないでしょうか。「Go To」事業はきっぱり中止し、観光・飲食業などへの直接支援策に切り替えることを、強く求めるものであります。(拍手)

「自己責任」押し付け――医療機関への減収補填、自粛と一体に補償を

 第二の致命的欠陥は、「自己責任」の押し付けであります。

 菅首相は、「自助、共助、公助」、「まずは自分でやってみる」と繰り返してきました。ここまであからさまな新自由主義の「自己責任」論の「国家像」を説いた首相はかつていませんでしたが、「自己責任」だけではどうにもならないコロナ対策にまでこの思想を押し付けていることは、きわめて罪深いといわなければなりません。

 この年末年始にも、各地で相談会や食料支援など生活困窮者への支援活動が行われ、多くの方々が利用し、ボランティアが参加しましたが、これは本来ならば政府がやるべき仕事であり、「公助」の貧しさを痛感させる光景ともなったのではないでしょうか。

 政府は、医療機関への減収補填(ほてん)を拒否し続けてきました。その結果、医療現場で何が起こっているか。日本看護協会は、12月22日、看護師や准看護師の離職があった病院が15・4%にのぼるという調査結果を発表しました。福井トシ子会長は、次のように訴えています。

 「看護師たちは第1波から約10カ月にわたり、これまで経験したことのないような職場環境の中で絶えず緊張を強いられてきました。……それなのに、コロナ対応と一般患者の減少で病院の経営が悪化したため給料やボーナスが減らされた看護師は多いのです。第3波では、頑張っても頑張っても終わりが見えない。給料は減る一方で『Go To』で旅行や会食を楽しむ人が大勢いるわけです。医療従事者にとってはやりきれません」

 いま懸命に奮闘している医療従事者を、政治が全面的に支える――この姿勢を示さずして、何のための政治かということになるではありませんか。ただちに医療機関への減収補填に踏み切り、すべての医療従事者への特別手当の支給を行うことを、政府に強く求めるものであります。(拍手)

 中小・小規模事業者への対応はどうでしょうか。政府が、昨年12月、コロナ感染拡大のさなかに決めたのは、中小・小規模事業者の「命綱」となってきた持続化給付金や家賃支援給付金を無慈悲にも打ち切るということでした。雇用調整助成金のコロナ特例も2月末までで縮小の方針が出されました。「一回こっきりの持続化給付金では事業は続けられない」「給付金の再給付を」という業者の強い願いに背を向ける冷酷な態度であります。

 この背景には、コロナに便乗した中小企業淘汰(とうた)の政策があります。大企業に対しては「デジタル化」や「国際金融センター」などの名目でさまざまな支援策を強化する一方で、中小企業に対しては直接支援を打ち切り、業態転換や事業の再編成を迫り、コロナに便乗して淘汰を進めようとしているのであります。こんな血も涙もない政治を、断じて許してはなりません。

 みなさん、持続化給付金の第2弾をはじめ直接支援を継続・拡充せよ、休業や時短営業を要請するなら今度こそ十分な補償を行え、仕事や住居を失って生活困窮に陥っている方々への支援に全力をあげよ――このことを強く求めてたたかおうではありませんか。(拍手)

声をあげれば政治は変えられる――「自己責任」押し付けを社会的連帯ではねかえそう

 私が、昨年のたたかいを振り返って訴えたいのは、「声をあげれば政治は変えられる」ということです。日本共産党は、民主勢力・諸団体と手を携えて、全国各地で、「お困りごとは何でもご相談ください」と、国民の命を守り、苦難を軽減する取り組みに全力をそそいできました。このなかで、政治を前に動かすさまざまな成果をかちとってきました。その成果は多岐にわたりますが、特筆すべき成果として二つをあげたいと思います。

 一つは、「自粛と一体に補償を」の声をあげ、政府がかたくなに拒否してきた直接支援の道をこじあけてきたことであります。

 私は、昨年11月、全商連の定期総会に参加する機会がありましたが、民商・全商連のみなさんは、持続化給付金、雇用調整助成金のコロナ特例、家賃支援給付金など、さまざまな直接支援の制度を実現する先頭に立つとともに、“どうせ無理”と諦めていた方に一声かけて励まし、申請を応援し、次々と支給を実現させてきました。持続化給付金で民商が支援して支給されたのは5万6千件、638億円を超えると聞きました。こうしたなかで、5月以来、連続的に会員さんが増え、定期総会に明るい活気がみなぎっていたことはたいへん印象的でした。

 いま一つは少人数学級の前進であります。

 政府は、昨年12月、現在は1クラス40人(小1のみ35人)と定められている小学校の学級編成基準を、2025年度までに全学年35人以下に引き下げることを決めました。小学校の学級規模の一律の引き下げは実に40年ぶりであり、全教、新婦人、教育研究者、地方自治体、校長会、教育委員会、PTAなどの共同の取り組みがつくった重要な前進となりました。わが党が、6月に発表した緊急提言で、「子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう」と呼びかけたことも、一つの貢献となりました。対象を中学校、高校にも広げ、一刻も早く30人学級を実現するために、引き続き力をつくしたいと決意しています。

 みなさん、「声をあげれば政治は変えられる」。このことを確信にして、冷酷な「自己責任」の押し付けを社会的連帯ではねかえそうではありませんか。「困った人にやさしい政治」をつくろうではありませんか。コロナの先には、安心して希望をもって暮らせる新しい日本をみんなで力を合わせてつくる年にしていこうではありませんか。(拍手)

二、歴史的勝負の年――共闘の勝利、日本共産党躍進で、新しい政権を

菅政権の終わりが見えた――総選挙で退場の審判を下し、新しい政権をつくろう

 今年は、総選挙が必ず行われる、歴史的勝負の年であります。

 昨年12月に開催した第2回中央委員会総会は、菅政権について、日本学術会議への人事介入など「安倍前政権を上回る危険性」をもつとともに、まともな答弁一つできないなど「政権担当の能力を欠く姿が露呈した」と批判しました。そして、「どのような強権とゴマカシを弄(ろう)しても、この政権と国民との矛盾は広がらざるをえない」と指摘しました。

 それから半月、わずかな期間に、2中総の指摘通りの事態が進展しています。年末に行われたメディアの世論調査では、内閣支持率が軒並み急落しました。最大の要因は、コロナ対応が誰の目にも行き詰まったということにあります。どの世論調査でも、菅政権のコロナ対応を「評価しない」と答えているのが6~7割に達しています。

 それに追い打ちをかけたのが、「政治とカネ」の問題が噴き出したことです。「桜を見る会」前夜祭で費用の補填が行われており、安倍氏や菅氏が1年にわたって国会で虚偽答弁を行っていたという重大事実が明らかになりました。吉川元農水相が鶏卵生産大手企業から巨額の現金を受け取っていた贈収賄疑惑も、きわめて深刻な問題に発展しつつあります。

 発足して3カ月半。はやくも菅政権の終わりが見えてきました。みなさん、来たるべき総選挙で引導を渡そうではありませんか。市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、菅政権に退場の審判をくだし、政権交代を必ず実現し、新しい政権――野党連合政権をつくろうではありませんか。(拍手)

 市民と野党の共闘は、昨年も国会共闘などで重要な前進を記録しました。一昨年の8月以来続けてきた政権協力に向けた話し合いを、ぜひとも実らせたいと決意しています。自公政権に代わる新しい政権を協力してつくる――この点で前向きの合意をつくることは、共通政策をねりあげ、選挙協力を具体化する話し合いに大きなはずみをつけることになります。政権協力で合意してこそ、選挙協力にも「魂」が入り、勝利への道を開くことができるということを、強調したいと思います。

 わが党自身の取り組みとしては、2中総で固く意思統一したように、わき目もふらず日本共産党の躍進――とくに比例代表での「850万票、15%以上」を獲得するための活動に思い切って力を集中する。この姿勢を揺るがずに堅持し、日本共産党躍進の政治的・組織的勢いをつくりだすことが、わが党自身にとっても、共闘を成功させるためにも、何よりも大切になっています。わが党が比例代表で850万票を獲得することは、小選挙区で野党統一候補が勝利をかちとるうえでも、その土台となるものであります。

 そのために、2中総が呼びかけた、4月末までを期限とする「総選挙躍進、1千万対話・党勢拡大特別期間」を必ず成功させる決意を、年頭にあたってみんなで固めあいたいと思います。(拍手)

「新しい日本をつくる五つの提案」――二つの国民的体験を踏まえてまとめあげた

 総選挙に向け、国民に何を訴えるか。まず呼びかけたいのは、2中総が提唱した「新しい日本をつくる五つの提案」を縦横に語ろうということであります。

 五つの柱、20の項目からなる「新しい日本をつくる五つの提案」は、これまで党が発表してきた総選挙政策とは、根本的な違いがあります。これまでの選挙政策は、「野党として実現のために努力する」――政府・与党に実行を迫っていくという性格のものでした。それに対して、「五つの提案」は、自公政権に代わる新しい政権――野党連合政権が実行する「政権公約」に向けたわが党としての提案――「政権公約」のたたき台として提唱したものであります。国民の力で政権交代を実現し、新しい政権をつくるならば、どれも実行に道が開かれてくるものであります。

 「五つの提案」をまとめあげるうえでは、次の二つの点に留意しました。

新型コロナ危機の体験から得た教訓を踏まえ、新しい日本を構想する

 第一は、新型コロナ危機の体験から得た教訓を踏まえて、新しい日本を構想するということであります。「提案1。新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる」、「提案4。地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる」、「提案5。ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を」などに、その内容を盛り込みました。

 たとえば、「提案1。新自由主義から転換……」は、その全体がコロナ危機の体験を踏まえたものとなっています。その最初の項目は「ケアに手厚い社会をつくります」となっています。同志社大学教授の岡野八代さんとの「しんぶん赤旗」日刊紙での新春対談でも、コロナ危機の体験を踏まえて、ケア労働が対談の焦点の一つとなりました。長年にわたってケア労働の重要性を研究されてきた岡野さんは、「医療、介護、保育、教育などケアに携わる人たちの悲鳴に耳を傾けない政治でいいのか」と強い怒りを語りました。人間はさまざまなケアなしには生きていけない。ところがケア労働がたいへん粗末に扱われている。そのことをコロナ危機は明るみに出しました。「ケアに手厚い社会を」ということは、コロナ危機を体験して多くの人々が痛切に願っていることではないでしょうか。

 「提案4。自然と共生する経済社会」も、コロナ危機が、地球温暖化、野生生物の生息域の縮小など、地球環境を破壊する人間の経済活動のあり方の根本からの見直しを迫っているもとで、焦眉の課題をまとめたものです。コロナ危機からの経済社会の回復は、グリーン・リカバリー(環境に配慮した回復)――脱炭素、脱原発、再生可能エネルギーの思い切った推進によって進めるという、世界では当たり前となっている流れを明記しました。

 「提案5。ジェンダー平等社会の実現……」も、その全体がコロナ危機の体験を踏まえたものとなっています。コロナ危機で多くの女性が職を失い、DVなどさまざまな困難に直面し、女性の自殺が増えています。こうした体験を踏まえ、ジェンダー平等社会をめざす主要な課題を明記しました。さらに、外国人労働者の人権擁護、少人数学級の実現、文化・芸術を守り育てる国づくりも、コロナ危機のもと、その重要性が痛切に実感されたものであります。

安倍・菅政権がつくった負の遺産を一掃し、政治の抜本的刷新をはかる

 第二は、安倍・菅政権がつくった負の遺産を一掃し、政治の抜本的刷新をはかるということであります。「提案2。憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復する」、「提案3。覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換する」などに、その内容を盛り込みました。

 たとえば、安保法制廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回は、「野党共闘の一丁目一番地」とも言うべき重要な課題ですが、地球的規模での日米軍事一体化への暴走のもとで日本の平和にとって急務であるだけでなく、わが国の立憲主義、法治主義を立て直していくうえでも急務となっています。

 毎日新聞客員編集委員・倉重篤郎さんとの「しんぶん赤旗」日曜版の新春対談で、日本学術会議への人事介入を合理化するために、内閣法制局が「クーデター的な法解釈の改ざん」を行ったことについて、こうした堕落がどこから始まったかが議論になりました。やはり分水嶺(れい)は2014年7月にあったと思います。安倍政権が、この時、内閣法制局長官の首を強引にすげかえて集団的自衛権は合憲と解釈変更をさせた。これが分水嶺となって、法制局は「法の番人」としての矜持(きょうじ)を失い、政権の意のままに、どんな反憲法的な法解釈も平気で行う下僕へと堕落した。これは今日につながっている。ここで意見が一致しました。

 安倍・菅政権によって壊された立憲主義を取り戻すことは、今日のあらゆる問題につながる文字通りの急務であるということを、私は、強調したいと思います。

 こうして、「五つの提案」は、新型コロナ危機の体験、安倍・菅政権の体験という、二つの国民的な体験を踏まえて、国民の多くが願っていること、国民多数の要求をまとめあげたものになっています。私は、ここに「五つの提案」の何よりもの生命力があると確信するものです。みなさん、「新しい日本をつくる五つの提案」を縦横に語り、さらに豊かにしていく取り組みに、力をそそごうではありませんか。(拍手)

改定綱領を縦横に語ろう――岡野八代さんとの新春対談にふれて

 いま一つ、訴えたいのは、改定綱領を生かして、日本共産党の魅力を縦横に語ろうということであります。

 2中総決定は、「改定綱領は、ジェンダー平等、貧富の格差、気候変動など、さまざまな新たな問題を“入り口”にして、未来社会への道をより豊かに多面的に示すものとなりました」と指摘し、「これらの問題の解決に向けて、まずは資本主義の枠内で最大の取り組みを行いつつ、その根本的解決の展望は社会主義にこそあることを、大いに語ろうではありませんか」と呼びかけました。

 この点で、新春対談での岡野八代さんの発言は、たいへんに示唆に富み、刺激的なものでした。岡野さんは、長年にわたってジェンダー平等に情熱をもって取り組んでこられた研究者ですが、対談のなかで、岡野さんは、「コロナ危機を通して、新自由主義の破たんが明らかになりましたが、同時に、資本主義そのものの矛盾ということも考えざるをえません」とのべ、「資本主義の大きな矛盾は、……労働者と、その労働者をつくる仕組み――ケアを酷使し、それに見合う報酬を出さないことにあるのではないでしょうか。この矛盾は資本主義である限りなくならないのではないでしょうか」と指摘しました。

 そして、「資本主義によらない政治の形というのを、いま模索しています。……私は今、自分の研究上も、最もコミュニズム(共産主義)に近い線を走っているところです」と語りました。私が、ジェンダー平等というのは、まずは資本主義の枠内でもその実現のために最大の努力を傾けなければならない目標だが、コミュニズムに進んだときには、全面的に達成できると考えていると話しますと、岡野さんが、「ゴールはたぶん同じところにあると思います」と応じたことも、たいへんに印象的でした。

 この対談を通じて、私は、科学的社会主義とジェンダー平等の流れとの接近、響き合いを強く実感し、新鮮な感動を覚えました。

 新型コロナ・パンデミックのもと、「資本主義の限界」を指摘し、「資本主義の見直し」を求める声がさまざまな形で広がっています。まさに、私は“社会主義の新たな出番の時代”がやってきたと思います。改定綱領を縦横に生かし、私たちがめざす未来社会――社会主義・共産主義の展望を大いに語っていく年にしようではありませんか。(拍手)

三、「総選挙躍進特別期間」を必ず成功させよう

「特別期間」の初動の取り組みについて

 最後に、2中総が呼びかけた「総選挙躍進特別期間」について報告します。

 「特別期間」の提起は、全党にきわめて積極的に受け止められ、実践が開始されました。12月の取り組みの到達点は以下の通りであります。

 対話は、2中総後、取り組みのテンポが1・5倍化し、7万人近くの伸びで、到達は57万5千人であります。後援会員は、8900人を増やし334万人を超えました。JCPサポーターまつりオンラインが大成功し、サポーターは新たに1千人増え、1万3千人となりました。

 12月の党勢拡大は、党員拡大では、入党の働きかけが約2千人、入党申し込みは302人で、残念ながら現勢では後退の見通しであります。読者拡大は、拡大数では、大幅増勢した昨年5月や9月を上回る拡大数となる全党のみなさんの大奮闘が展開されましたが、購読中止の読者がそれを上回り、残念な後退となりました。

 同時に、昨年1年間を通してみると、党員拡大では、現勢では前進できなかったものの、新しい法則的な党員拡大運動が始まり、一昨年を上回る5千人をこえる新たな同志を迎え入れることができました。読者拡大では、年間の拡大数では、2016年以降では最大規模となりました。私は、コロナ危機という未曽有の困難のもとでの、全党のみなさんの大奮闘に心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。(拍手)

 みなさん、目前の総選挙に必ず勝利するために、2中総決定を力に、「支部が主役」で「特別期間」の運動を本格化させ、宣伝と対話でも、党勢拡大でも、この1月から見るべき前進をつくりだすために、全力をつくそうではありませんか。(拍手)

26歳の新入党員――「綱領が自分の思いにことごとく一致していることに驚いている」

 「総選挙躍進特別期間」を成功させる条件は大いにあります。

 新春にあたって、全党のみなさんに、私たちが勇気づけられた二つの経験をお伝えしたいと思います。

 2中総の討論では、「これまで党と接点がなかった人々が、自らの力で党を発見し、出会いが起こっている」ことが、さまざまな形で明らかにされましたが、きょうは、大企業が発行する雑誌の編集部に勤務する26歳の男性の入党について紹介したいと思います。

 男性は、検察庁法問題で、ネットに抗議の声が広がるなか、もっと詳しく知りたいと「赤旗」電子版無料購読を申し込みました。その後、日刊紙を購読、民青に加盟し、記念講演を視聴し、入党しました。入党の感想と決意を次のように語っています。

 「綱領に全面的に賛同します。新自由主義ではうまくいきません。資本主義ではダメ。社会主義的な考え方が一番自分に合っています。綱領を読み進めるなかで、これまで政治に距離をとってきた自分の思いとことごとく一致していることに驚きました。こういう綱領を掲げている政党があることに驚き、それに一致していく自分にも驚き、希望を覚えました。改定綱領で、僕はこの党に入るべくして入ったところがあります。弱い人のために寄り添う社会、やさしい社会をつくれるように、一歩ずつでもいいから頑張っていきたい」

 検察庁法問題を契機に日本共産党に出会い、綱領を読んでみたら自分の思いにことごとく一致していて驚いた。ここにも、わが党がいま大きく発展していく可能性が示されているのではないでしょうか。

「赤旗」記者特別募集――若い同志たちが魅力を感じジャーナリストの道を踏み出している

 いま一つ、紹介したいのは、「しんぶん赤旗」の記者特別募集の取り組みです。

 「しんぶん赤旗」は、「桜を見る会」スクープのJCJ大賞受賞を契機に、かつてない社会的注目を集め、政党機関紙の域を超えて、日本を代表するジャーナリズムとして、社会的に認知されるようになってきています。

 そうしたなか8月から10月にかけて取り組んだ「赤旗」記者特別募集には、50人を超える応募があり、当初の目標だった15人を超える20人程度の採用が見込める状況になっています。これだけの若手・中堅の党員が、「赤旗」記者という党中央の専従活動家になることを決意したことは、党全体の世代的継承にとっても重要な成果であります。「発行体制面でも『赤旗』を守ろう」という私たちの呼びかけにこたえた全党のご協力に、心からの感謝を申し上げるものです。

 新しく編集局に入る同志たちの3分の1は、この2年ほどの間に入党した同志ですが、「赤旗」記者になりたいという思いから、この機会に入党した同志も少なくありません。

 入党前に編集局に問い合わせの電話をしてきたTさんは次のように語っています。「大手紙は記者クラブに入っているが、『赤旗』はそのなかに入っていない。一人一人が問題意識を持っている。それができるのも綱領があるからだと思う。だからスクープも生まれる」

 もうひとかた、通信社に勤めていた経験をもつAさんは次のように語っています。「『赤旗』には独立性がある。スポンサーの制約を受けず、手を緩めず社会問題に切り込み、真実を暴くことができる、電通や外環道の問題など、他のメディアが取り上げないなか、追及できる。『桜』疑惑でも、野党が追及チームをつくれるところまでいった。『赤旗』には国を動かす力がある」

 「赤旗」が社会的注目を集めるなか、若い同志たちが、この仕事に魅力とやりがいを感じて、新しいジャーナリストの道を踏み出している。何ともうれしく頼もしいことではないでしょうか。(拍手)

党創立99周年の年――党史に残る歴史的な年となるよう力合わせ頑張りぬこう

 みなさん、これらの経験は、2中総でも確認した、コロナ危機のもとでの情勢の変化、国民の意識の前向きの変化を、生きいきと反映しているではありませんか。

 今年は、党創立99周年の年であります。

 前進の条件をすべてくみつくして、「総選挙躍進特別期間」を必ず成功させ、今年が、総選挙での新しい政権――野党連合政権の樹立と、日本共産党躍進を実現した、党史に残る歴史的な年となるよう、力を合わせて頑張りぬくことを誓いあって、年頭にあたってのあいさつといたします。


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