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2020年12月30日(水)

きょうの潮流

 「いかに多くの資金が兵器、とくに核兵器に費やされているか」。そう非難するのはローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇です。教会が定める1月1日の「世界平和の日」に向け公表したメッセージでの言葉です▼「いたわりの文化、平和への道のり」と題したメッセージで、新型コロナ感染拡大に触れ、軍事費を貧困対策や医療に回すよう呼びかけました▼核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の報告によると、核保有9カ国の昨年の核兵器関連予算は729億ドル(約7・5兆円)。約半分を占める米国の支出だけでも集中治療室(ICU)のベッド30万床、人工呼吸器3万5千台、看護師・医師22万人超の給与に匹敵します▼医療に使えたはずの膨大な資金が核兵器に使われており、核兵器を公衆衛生への脅威とみなすべきだ―。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のフューラー助教授の提起です▼核兵器は放射線や爆風などで命を奪う上に生き残っても一生健康被害が続き、「医療インフラにとって核攻撃への対策は不可能」と同氏。公衆衛生専門家が集まる世界最大の会合・米公衆衛生協会の年次総会(今年はオンライン開催)に連名で核兵器禁止条約の署名・批准を大統領と上院に迫る決議案を提出、採択されました(10月)。米民間団体・核脅威イニシアチブのウェブサイトなどが伝えています▼コロナ禍でも核兵器に巨額の資金をつぎ込む不条理に広がる怒り。禁止条約参加へと保有国を追い詰める力になりつつあります。


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