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2020年12月10日(木)

防大いじめ 国に賠償命令

福岡高裁逆転判決 安全配慮義務に違反

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(写真)元防衛大生への人権侵害で国の責任を認める逆転勝利を告げる弁護団=9日、福岡高裁前

 幹部自衛官を養成する防衛大学校(神奈川県横須賀市)で上級生からいじめや暴行を受けた元防大生が、国と教官の安全配慮義務違反を問うて損害賠償を求めた裁判の控訴審判決が9日、福岡高裁(増田稔裁判長)でありました。同高裁は安全配慮義務違反を「予見は不可能」と棄却した一審判決を取り消し、国の責任を認め、約268万円の損害賠償を命じました。

 判決は、「具体的な危険が発生する場合には、これを防止する具体的な措置を講ずべき義務も含まれる」と判断。「学生間指導の実態を具体的に把握する必要があるのに、その意識を欠き、実態の把握のために調査などの措置を講じていなかった」と安全配慮義務違反を認めています。

 損害賠償は請求額の約2300万円から大幅に減額していますが、退学で失った学生手当の損害額を認めており弁護団は「評価に値する」としています。

 原告の元防大生は報告集会で「判決を受けて安心している」と表明。弁護団、支援者、家族の支えに感謝を述べ、「国が最高裁へ上告するかわからないが自分たちの非を認め、判決を受け入れることを願う」と発言。参加者から拍手がわきました。

 原告の元防大生は、2013年4月に防衛大に入学。上級生が絶対的権限を持つ「学生間指導」という仕組みのもとで、原告の元防大生らは罰ゲームとして、陰毛にアルコールをかけられ着火されるといった暴力、いじめを受けていました。


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