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2020年12月8日(火)

きょうの潮流

 ナチ党が共産主義者を攻撃したとき、私は多少不安だったが何もしなかった。学校が、新聞が、ユダヤ人が攻撃されたとき、ずっと不安だったがまだ何もしなかった。ついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた▼ナチスに弾圧され、強制収容所に入れられたマルティン・ニーメラー牧師の警句です。その言葉は米国記者ミルトン・マイヤーの著書『彼らは自由だと思っていた』の中で、ある学者が紹介しています▼著書はナチズムに共感したドイツ庶民の思想や行動を追ったもの。牧師の戒めを引用した学者自身も、すべてが起こってしまってから「発端に抵抗せよ」「終末を考慮せよ」という一対の格言を何度も考えたと悔やんでいます▼彼らの教訓が時空をこえ、いまの日本によみがえっています。菅首相による学術会議への介入。学問や研究の自由が奪われ、戦争と一体化されていった過去の痛恨を思い起こさせるからです▼日本野鳥の会の会長は本紙日曜版で牧師の警鐘をあげ、ひとごとではないと。「ここできちんと抗議しないと将来に禍根を残す」。同じ思いは、さまざまな学会や学生、市民にひろがり、任命拒否の撤回を求めています▼この問題を会見で問われた首相が浮かべた薄笑い。あれは何を意味するのか。日本が太平洋に戦端を開き、破滅へと向かった日に改めて考えたい。権力が批判や反対を封じ込める動きを強めたそのとき、歴史が突きつけてきたことを。あなたなら、どうしますか。


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