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2020年11月25日(水)

米NY市

検査体制を強化 1日5万件実施

スタッフ4000人 90%の追跡率

 【ワシントン=遠藤誠二】新型コロナウイルスによる感染者数約1191万人、死者25万人以上(11月21日現在、ジョンズ・ホプキンス大学)を出している米国では、現在、感染の第2波が襲っており、1日の新規感染者は20万人に達する勢いです。

群を抜く低さ

 トランプ政権が無策ななか、各州・各都市では、地方レベルでの対策を続けています。今年春に米国の「エピセンター(感染の中心地)」となった北東部ニューヨーク州は、検査体制強化などを通じ、第2波が襲来するなかにおいても陽性率が3%以下(2・66%、11月19日、州発表)と、全米平均(10%)をはるかに下回っています。米国最大の都市ニューヨーク市は2・52%(11月19日、州発表)とさらに低く、全米で一番人口が集中している地域にもかかわらず、陽性率の低さは群を抜いています。「米国内の都市では最大の検査・追跡の取り組み」(米メディア)や市民の意識の向上などが効果を発揮している理由といえます。

 新型コロナウイルス検査は欧米のどの地域よりも行われていると伝えられます。ニューヨーク州で1日約20万5000件実施(11月19日、州発表)。ニューヨーク市では200カ所で1日5万件の検査が可能な体制です。

 検査で陽性が出た人へは、「コンタクトトレーサー」と呼ばれる行政によって雇われた担当者が連絡し(主に電話)、接触者の情報を尋ねる一方、医療ケア、隔離の支援を行います。

一体的に実施

 ニューヨーク州では民間の力も得て、5月から追跡を本格的に始めました。ニューヨーク市では、「検査・追跡部隊」と呼ばれる組織が立ち上がり、検査、追跡、隔離を一体的に実施。同組織は、同市の公的医療機関(NYCHH)の一部門です。

 現在、この組織には4000人のスタッフがいて、陽性者の「追跡率」は90%(NYCHH)に上り、成果を出しています。

 発足直後は、業務が不慣れで陽性者の協力もなかなか得られず、成果が上がらなかったようですが、半年を経て、「病院システムにより運営されているニューヨーク市の検査・追跡部隊は高い水準の効果を上げ業務にあたっている」(ニューヨーカー誌電子版11月12日付)、「陽性者の91%にコンタクトが成功、そのうち98%の人は隔離をし、2万5000人の新たな感染拡大を防いだ可能性がある」(ABCテレビ・ローカル10月29日放送)との評価を得ています。

 追跡業務は、感染者に接触者の情報提供を求めるだけでなく、医療ケアや隔離生活の援助を行います。接触者への検査実施アレンジや、感染者が他の場所での隔離を必要とするならばホテルの提供、隔離時の食料品はじめ生活必需品の買い出し、ペットの散歩・ケアなども行います。こうした感染者のニーズに合った運営で信用を勝ち取り、追跡業務は成功しているようです。


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