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2020年11月21日(土)

コロナ対策 医療支援金現場に届かず

総額3兆円の2割に満たず

“交付早く”と悲鳴

厚労省が小池議員に資料 10月末時点

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(写真)PCR検体を採取する医師=東京都内の病院

 新型コロナウイルス対策として国が設けた総額約3兆円の「緊急包括支援交付金(医療分)」をめぐって、医療現場に届いた額は10月末時点でも全体の2割に満たない計5200億円にとどまっていることが、厚生労働省から日本共産党の小池晃参院議員に示された資料から判明しました。多くの医療機関がコロナ禍で経営悪化に直面し“すでに借金漬けだ”と悲鳴があがっており、迅速な交付が求められています。

 各都道府県は緊急包括支援交付金を受け、医療機関や医療従事者の支援事業を実施しています。資料によると、コロナ患者専用の病棟などを整備した「重点医療機関」のベッド確保料の補助金をはじめ、緊急包括支援の10事業について、10月末時点で計5200億円を交付しています。個別事業では、いまだ「交付ゼロ」という県も散見されます。

 菅義偉首相は10月30日の参院本会議で、小池議員の質問に対し「医療機関に、これまで約3兆円の支援を実施した。医療現場のみなさまに速やかに届ける」と述べましたが、実態は、その2割に満たない額しか現場に届いていなかったということです。医療機関では冬の一時金を引き下げる動きも出ており、ただでさえ人手不足なのに離職者が生まれかねないと懸念する声が相次いでいます。

 交付の遅れには、緊急包括支援が1次、2次と国の補正予算で小出しにされたことで、都道府県の事務作業がいっそう膨大になっていることなどが指摘されています。人手不足で「他部署からの人員で(作業)体制を強化している」(千葉県)という例もあります。

 各医療団体は「政府が推奨する資金融資は、負債を先々に残すだけだ」(全日本民医連、6日の要請)などとして、緊急包括支援の早急な交付を要求。減収補てんとして、地域医療を支えるすべての医療機関に、診療報酬を前年実績で支払う「概算払い」を行うよう求める声が出ています。


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