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2020年11月15日(日)

きょうの潮流

 アインシュタインよりもモーツァルトのほうが天才だ。なぜなら、誰かが相対性理論と同じ真理にたどりつくことは可能である。ところがあのすばらしい曲は彼以外につくれないから▼わたしたちが捕まえたニュートリノも、自然界が投げかけてくれたそれを、たまたま受けとめるめぐりあわせだっただけ。訃報が伝えられたノーベル賞物理学者の小柴昌俊さんは、科学の発展を基礎研究の積み重ねの結果としてとらえていました▼人間がいままで分からなかったことを知る喜び。その飽くなき挑戦と探究の地道な作業は、超新星爆発によって生じる素粒子ニュートリノの史上初の観測とともに、天文学に新たな分野を切り開きました▼宇宙の生成に迫りながら、後進の支援や研究環境の改善を国に求める姿も。本紙のインタビューでも日本の貧しい教育予算を情けないと憂え、「国のさらなる繁栄のための投資」と考えて若い人の教育にしっかり使うべきだと提言していました▼旧制一高の寮で同部屋だった共産党の上田耕一郎さんとの対談ではこんなことも。われわれの研究なんて、100年たっても役に立つかどうか。ただ人類の知的財産を増やすという意味しかないが、それをやっていくことがその国の文化の高さを示す▼自然は思いもつかない「事実」をもっている。それを見極めるためには、本気になって目を見開かないといけない。いつか達成したいと思う「卵」をたくさんもって。知の発展に尽くした研究者が残したメッセージです。


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