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2020年11月11日(水)

バイデン氏の核戦略 世界が注目

「核なき世界」最大の妨害者 問われる日本の姿勢

 史上初めて、核兵器を違法化する核兵器禁止条約が来年1月22日に発効します。米国の民主党・バイデン新政権が発足するのは、その2日前の1月20日(現地時間)。核超大国・米国はどのような対応を取るのか。唯一の戦争被爆国でありながら、日本政府は「核なき世界」を妨害し続けるのか―。世界が注目しています。

 バイデン氏は公式サイトで、「核兵器の唯一の目的は抑止であり、もし必要なら、核攻撃に対して(核で)報復する」と明言。「核抑止」を維持する考えを明確にしており、発足当初のオバマ政権が標ぼうしていた「核なき世界」には触れていません。

 同時に、核兵器の役割の大幅な拡大を進めてきたトランプ政権による新たな核兵器の開発に対しては「不必要、むだ、防衛に適さない」(民主党政策綱領)と主張し、核兵器の役割を削減するとも述べています。こうしたことから、バイデン政権は新たな「核態勢見直し」(NPR)に着手する可能性もあります。

 重要なのは、核兵器の役割削減にあたり、バイデン氏が「同盟国や軍と協議する」(公式サイト)と述べていることです。

 オバマ政権の「核なき世界」が行き詰まったのは、米軍や軍需産業など米国内の核固執勢力に加え、同盟国の抵抗を受けたからです。中でも、日本政府は最大の妨害者としてふるまってきました。

 2009年、米議会諮問委員会が同盟国に行った意見聴取で日本政府代表者は、核トマホークの退役や米国の核削減に反対。核弾頭の最新鋭化まで求めていたことが明らかになっています。

 さらに、米ワシントン・ポストが16年、安倍晋三首相(当時)がオバマ政権の核先制不使用宣言に反対したと報じ、波紋を広げました。ウィリアム・ペリー元国防長官も、クリントン政権をはじめ歴代の米民主党政権が模索してきた「核の先制不使用政策」に日本政府が反対してきたと指摘しています。(8月1日、長崎市内での国際シンポジウム)

 現時点で、バイデン次期政権の核戦略は未知数ですが、日本政府が米国の核抑止にしがみつき、これ以上、「核なき世界」の実現を妨害することは許されません。

 (竹下岳)


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