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2020年10月26日(月)

NHK日曜討論 小池書記局長の発言

 日本共産党の小池晃書記局長は25日のNHK「日曜討論」で、きょうから始まる臨時国会で焦点となる、菅義偉首相による日本学術会議の新規会員の任命拒否問題、新型コロナウイルスと経済対策、批准が発効に必要な50カ国に達した核兵器禁止条約について各党代表と議論しました。


菅政権発足1カ月

 初めに就任1カ月が過ぎた菅政権の評価について問われ、自民党の柴山昌彦幹事長代理、公明党の石井啓一幹事長、日本維新の会の馬場伸幸幹事長は、携帯電話料金の値下げ、不妊治療への保険適用などが高い支持を受けていると述べました。

 小池氏は「安倍政権の継承・発展というが、継承してはいけないことを継承し、発展させてはいけないことを発展させている」と強調しました。小池氏は、学術会議の任命拒否問題では安倍政権の強権性がいっそうひどい形で表れており、コロナ禍の下で国民に「自助」=自己責任を押し付けようとしていることも大問題だと指摘。「臨時国会ではこういう強権性や、国民に自己責任を押し付ける政治と対決し、命と暮らしを守るために、市民と野党が力を合わせて政権交代を実現する論戦に取り組みたい」と表明しました。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は、菅政権が安倍政権の悪い部分を継承していると述べ、支持率が一気に下落していると指摘しました。

学術会議任命拒否

 学術会議が推薦した会員候補のうち6人を菅首相が任命拒否したことについて、自民・柴山氏は「学術会議は1950年の軍事研究は行わないという提言を盾に、デュアルユース(民生技術の軍事転用)の研究がなかなか進まないという問題点も指摘されている」「6人の候補者の過去の実績や活動に鑑みて総合的・俯瞰(ふかん)的な観点から適切な任命措置がなされた」と発言しました。

 小池氏は「軍事研究に反対したから人事に介入したとしか聞こえない」と批判。任命を拒否された加藤陽子東京大学教授の「政府側の意向に従順でない人々をあらかじめ切るという事態が進行した」という言葉をあげ、「まさに憲法23条の学問の自由を脅かす事態であり、6人だけの問題ではなく、国民の権利、学問の自由を脅かすという点で、全ての国民にとって重大問題だ」と訴えました。

 柴山氏が、学術会議の「硬直性」を問題視する声が一部にあるなどと今後の組織の在り方に問題をすり替えようとしたのに対し、小池氏は「問われているのはすでにやった(任命拒否の)ことであって、未来のことではない」と反論しました。

 さらに、柴山氏が会員に任命されなくても研究の自由はあるなどと述べたことにも、小池氏は「暴論だ。学問の自由は、個々の研究者の自由もそうだが、学者コミュニティーの自律性・自主性の尊重がなければいけない。今回のやり方は、個々の研究者だけでなく学術会議全体を『政府に盾突く組織は許さない』と脅迫するもので、二重三重に学問の自由を脅かす。非常に卑劣だ」と訴えました。

 立民・福山氏は、任命拒否は「違法だ」と述べ、任命拒否に関与したとされる杉田和博官房副長官の国会招致を求めました。

コロナと経済対策

 新型コロナ対策が議論となり、小池氏は、PCR検査に必要な予算をしっかり手当てするなど医療と検査の徹底した拡充が必要だと力説。休・廃業や解散を検討する中小企業が31万社に上り、非正規雇用もコロナ以前に比べ100万人以上減る一方、ほとんどの政府の経済支援制度が12月までで切れるとし、「倒産と失業の悪循環に陥る恐慌に絶対にしてはいけない」と訴えました。

 小池氏は、政府の支援策は穴が多いうえ、必要なところにお金が届いていないため、第2次補正予算の予備費が7兆円も残っていると指摘。「医療機関に対する支援も極めて不十分。すでに決めたものは直ちに届ける。あらゆる手だてで解雇・雇い止めを抑える。持続化給付金は一回限りにしないでコロナ収束まで複数回出す。あらゆる施策を総動員してくらしと命、経済を立て直すために全力を挙げるべきときだ」と求めました。

核兵器禁止条約

 核兵器禁止条約が来年1月に発効する運びとなったことについて、小池氏は「大変うれしいニュースだ。史上初めて核兵器を違法化する条約が実現する。しかも核兵器の使用のみならず、開発も、実験も、生産も、保有も、威嚇も全面的に禁止する中身だ。核なき世界への大きな一歩を心から歓迎したい」と表明しました。

 そして、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のベアトリス・フィン事務局長が、鍵を握るのは核保有国ではなく、核保有国を擁護する日本などの国々の動向であり、日本が政策転換すれば世界にとてつもない衝撃を与え、歴史を変える瞬間になるとコメントしていることに触れ、「国際社会は核兵器廃絶か、それとも固執するのか、そこに二分されている。核兵器廃絶の大きな流れが一歩進み始めたわけで、日本の立ち位置が問われている。唯一の戦争被爆国として日本の政府が核兵器禁止条約に一刻も早く署名・批准することを求めていきたい」と述べ、日本は条約発効を待たずに批准すべきだと主張しました。

 自民・柴山氏は「理念は共有するが、実効性の確保や工程表の面で現実味が薄いことから(政府は)批准を保留してきた」と発言。公明・石井氏も政府の対応はやむを得ない面もあると述べました。

臨時国会どう臨む

 最後に、臨時国会での重要課題について問われ、小池氏は「最優先で取り組むべきはコロナから国民の命を守り、経済を立て直す。そのために全力を挙げることだし、そのために予算を振り向けることだ」と発言。タイやフィリピン、韓国では、コロナ対策のために軍事費を削減する一方、菅政権が来年度の概算要求で過去最大5兆5千億円の軍事費を計上していることをあげ、「こういう在り方を根本から見直して、コロナから国民の命を守る、そういう政治に転換していくことを求めていきたい」と語りました。


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