しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年10月21日(水)

主張

森友公文書改ざん

菅政権は全容を公開すべきだ

 学校法人「森友学園」に国有地が破格の安値で払い下げられ、その交渉内容を記した公文書が改ざんされた問題で新事実が浮上しました。改ざんの経緯を記録したファイルが存在するとの発言が音声データに記録されていたのです。発言したのは、改ざんを強いられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの元上司です。元上司は、ファイルを見れば改ざんの過程が「全部分かる」と述べています。「真実が知りたい」と裁判を起こした赤木さんの妻、雅子さんは、音声データを証拠として提出し、ファイルの公開を求めています。政府に拒む理由はありません。

「全部分かる」ファイル

 「森友」疑惑は、安倍晋三前首相の妻、昭恵氏が「名誉校長」に就任していた「森友学園」の小学校建設のため、大阪府内の国有地が鑑定価格から8割も値引きされて売却されたことが発覚し、大問題になりました。当時、安倍首相は「私や妻の昭恵が関与していれば首相も国会議員も辞める」と国会で答弁し、それに合わせるため、関与を疑わせる公文書の廃棄や改ざんが行われました。

 安倍政権は改ざん問題で財務省の佐川宣寿理財局長らを処分したものの、佐川氏らの具体的な指示はなかったなどとする報告書をまとめて決着を図りました。しかし、雅子さんが、佐川氏と国に賠償を求めた裁判に証拠として提出し、弁護団が公表した音声データは、佐川氏の関与を強く示唆するものです。

 その中で元上司は、改ざんは「佐川さんの判断」と明言し、近畿財務局には赤木さんが作成したファイルがあって、「これを見たら、われわれがどういう過程で(改ざんを)やったのか全部分かる」と語っています。この発言は、赤木さんが自殺してから約1年後の2019年3月に、元上司が赤木宅を弔問に訪れた際に録音されたものとされます。ファイルの公開を求めた原告側に対し、国側は「回答する必要はない」との立場です。ファイルが存在するか否かさえ答えないのはあまりに不誠実で、冷たい態度です。雅子さんは意見陳述で、「答える必要がないという回答がどれだけ遺族を傷つけるか想像してほしい」と訴えました。この声を受け止めるべきです。

 「森友」疑惑で菅義偉首相は、財務省の調査や処分、検察の捜査が終わっていると、再調査を拒んでいます。今回の元上司の発言は、見過ごせない新事実です。これでもなお再調査しないという姿勢は通用しません。第三者委員会の設置による再調査を求めて雅子さんが呼びかけた署名も35万人分を超えました。国民は疑惑の全容解明を求めています。その声に逆らい続けることは許されません。

隠ぺい姿勢を改めよ

 発足から1カ月たった菅政権は、「森友」疑惑だけでなく、「加計学園」の獣医学部開設をめぐる疑惑や政府主催の「桜を見る会」疑惑、河井克行元法相夫妻の大規模買収事件などについても、沈黙を続けています。

 菅首相は以前発刊した本やインタビューを再録した新著を20日出版しましたが、そこからは公文書の管理の重要性を訴える記述があった章は削られています。都合の悪いことは国民から隠し続ける―そんな姿勢だとしたら、菅氏に政権を担う資格はありません。


pageup