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2020年10月19日(月)

きょうの潮流

 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。憲法25条(生存権)は、個人の尊厳を確保するために欠かせない人権です▼憲法を暮らしにいかす運動の原点とされる朝日訴訟。重症結核患者の朝日茂さんが低すぎる生活保護費をめぐり、生存権とは何かを世に問い、別名「人間裁判」とも。60年前のきょう19日、東京地裁で浅沼武裁判長が朝日さんの訴えを認める判決を出しました▼浅沼判決は「健康で文化的な生活」を明確に示しています。最低所得層の生活水準が「最低限度の生活」に「当たると解してはならない」。「時々の国の予算の配分によって左右さるべきものではない」。「国民の何人にも全的に保障されねばならない」▼いまの生活保護は、人間に値する生活に足るものとなっているか。国は最低所得層の消費支出と保護世帯のそれを比較し、次々と保護費を切り下げました。これに対し立ち上がった保護利用者の訴えを冷たく退けた名古屋地裁。保護費の切り下げが、「国民感情や国の財政事情を踏まえた」自民党政策の影響を受けていても、違法ではないと▼テレビの明かりだけの暗い部屋で暮らす利用者…、裁判所はその実態から目をそらしているのではないか。「憲法は絵にかいたもちではない」。朝日さんの療養所に足を運んだ浅沼裁判長の言葉です▼自助・共助の押し付けで、憲法25条をゆがめようとする菅政権。不断の努力で生存権を守りたい、朝日さんの「権利はたたかう者の手にある」の言葉を胸に。


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