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2020年10月14日(水)

きょうの潮流

 故・家永三郎さんが国による教科書検定は違憲・違法だとして提訴した「教科書裁判」。東京地裁の杉本良吉裁判長らが、家永さんの日本史教科書を不合格にした検定は違憲だとした「杉本判決」(1970年7月)から今年で50年です▼「杉本判決」は憲法に基づき、教育は「子ども自らの要求する権利」であるとし、国民の教育権を保障する立場から、国家が教育内容に介入することは許されないとのべました。教育の自由や学問の自由を尊重した画期的判決でした▼家永さんには戦争に反対できなかったことへの痛切な自責の念がありました。著書『太平洋戦争』では「戦争はどうして阻止できなかったか」と問い、「国民の意識が国家権力の統制によって画一化され」たことが決定的だと書いています▼二度と戦争を起こさせない。そのために学問の自由、教育の自由を守るという信念が、家永さんをして32年にもわたる裁判をたたかわせました▼その思いは大きく響きました。市民、教職員、出版労働者、学者、学生などに支援の輪が広がり、都道府県・地域、分野別に70以上の支援組織ができました。名だたる学者が次々と証人として法廷に立ちました▼日本学術会議への人事介入は家永さんが半生をかけて守ろうとした学問の自由を踏みにじるものです。法政大学の田中優子総長は、学術研究は政府から自律してこそ真理を追究でき、社会全体の利益につながるとのべています。教科書裁判のように、国民全体の問題として追及したい。


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