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2020年10月13日(火)

主張

台風19号1年

命を守り暮らし支える政治を

 東日本を中心に甚大な被害を出した台風19号が上陸して12日で1年となりました。宮城、福島、長野3県では、いまなお7000人以上が避難生活を続けるなど、被災地の状況は深刻です。新型コロナウイルスの感染が支援活動に影響を与えており、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に向けた取り組みを国の責任で一層強めることが不可欠です。台風をはじめ激甚化が際立ってきた気象災害から国民の命と暮らしを守るために政治の果たす役割が求められます。

コロナ禍で新たな苦難

 記録的な豪雨をもたらした台風19号は、千曲(ちくま)川(長野県)や阿武隈(あぶくま)川(宮城県、福島県)をはじめ多くの河川の流域で被害を広げました。国・県管理の河川では142カ所で堤防が決壊し、濁流が住宅や農地をのみ込みました。100人以上が犠牲になりました。

 仮設住宅に避難している人は11都県におよんでいます。プレハブ型の仮設住宅だけでなく自治体が民間住宅を借り上げた「みなし仮設」に身を寄せる人が多数います。被災者がまとまって暮らすプレハブ仮設と異なり、「みなし仮設」では、住み慣れた土地を離れ、分散して暮らす人がほとんどです。孤立させないために、必要な情報が行き届くようにすることなど、行政によるきめ細かな相談体制と支援の仕組みづくりが欠かせません。

 浸水した住宅に暮らす「在宅避難者」も少なくありません。国や自治体が実態を把握できていないケースが多いと指摘されており、「在宅避難者」が取り残されないようにする活動を促進することが重要となっています。コロナ感染防止と両立させつつ、閉じこもりがちな被災者への支援を丁寧に行うことは、従来の取り組みとは違った工夫と努力が必要となっています。現場をしっかり支えるために国は支援すべきです。

 住宅の再建は極めて切実な課題です。浸水などによって、全半壊した住宅は約3万3000棟、一部損壊は約3万7000棟に達しています。住まいを建て替えたり、修繕したりする資金のめどがたたず、もともと住んでいた地域を離れざるをえないという声も上がっています。被災住宅に公的支援を行う被災者生活再建支援法の対象拡大は急務です。政府はこれまでの「全壊」「大規模半壊」に加え「半壊」の住宅も支援する方向で法改正の検討をしています。拡充を求める世論と運動の成果です。同時に支援金の引き上げも必要です。人口流出を防いで被災地を復興させるためにも住宅再建を国の力で支える仕組みを前進させることが極めて重要となっています。

 営業を再開しても、コロナによる経済の冷え込みで多くの業者は苦しんでいます。“二重の打撃”を受けた人たちも希望を持てるよう生業への支援も急がれます。

災害に強い地域づくり

 熊本県などを襲った7月の豪雨は深い傷痕を残したままです。9月初めの大型の台風10号は九州や沖縄に被害を与えました。今年の台風シーズンはまだ続きます。昨年は19号の前に千葉県などで被害を出した15号もありました。短い間に襲来する複数の台風は被害を拡大させます。台風への警戒を強め、防災・避難体制の点検・検証を怠らず、災害に強い国土と地域をつくることが政治の責任です。


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