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2020年10月6日(火)

自主的選出「変わらない」

学術会議会員の公選制廃止時

83年政府文書で明確

 日本学術会議の会員を選任するための公選制を廃止した1983年の法改定にあたり、政府が公選制を廃止しても科学者が自主的に代表者を選出する仕組みは「変わらない」との法解釈を示す文書を作成していたことが分かりました。菅義偉首相が学術会議の推薦した会員候補を任命拒否したことは、これまで政府が保障してきた科学者の自主的に会員を選ぶ権利を奪うものです。この点においても従来の法解釈を守らない違法行為であることは明らかです。(岡素晴)


写真

(写真)科学者が自主的に会員を選ぶ仕組みは変わらないと明記した想定問答(下線は本紙が挿入)

 文書の題は、日本学術会議法の改定に関する「想定問答追加」。内閣法制局の「法律案審議録」に収録されています。審議録には、首相任命を「形式的」と明記した「想定問答」も含まれており、国立公文書館に所蔵されています。

 83年当時の中曽根康弘政権は、日本学術会議法を改定。科学者が会員を投票で選んでいた公選制を廃止し、学会などが会員候補者を推薦した上で、その推薦に基づき首相が任命する推薦制に変えることを主な改定内容としていました。

 同文書は、法改定をめぐる国会審議で、「公選制を廃止することは、現在の有権者の学術会議会員を選出する権利を奪うことになるが、これについてどう考えるか」との質問が出ることを想定しています。

 これに対する回答として、「推薦制に改められる結果、有権者という概念はなくなるが、科学者が自主的にその代表者を選出するという点において変(わ)りはな(い)」と説明。「現在の有権者である科学者が会員の選出に関与する点においては基本的に同じである」として、権利を奪うことにはならないと述べています。

 実際、学術会議が公式に推薦決定した会員候補の任命を拒否したのは菅首相が初めてです。加藤勝信官房長官は5日の会見で、「憲法体制、法律体系は変わっていない」と法解釈を変更していないとの認識を示しましたが、任命拒否ができるという法的根拠は説明していません。


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