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2020年10月2日(金)

主張

少人数学級

実現への重要局面に力合わせ

 文部科学省が2021年度予算案の概算要求に、少人数学級の検討を盛り込みました。義務教育標準法を改正して正規の制度化をめざす意向です。国民の声が、少人数学級に長期に背を向けてきた政府を動かした、重要な変化です。

 同時に、今回の要求は規模も進め方も記されない「事項要求」と言われるものです。本当に法改正や予算が認められるのか全く未定です。少人数学級は重要な局面を迎えました。

良質な教育を子どもに

 未定となっている要因は、政府の姿勢が定まっていないためです。国の予算をにぎる財務省は少人数学級を「明確な効果があったとは認められない」と敵視し、現在行われている小学1年の35人学級を「40人に戻すべきではないか」と要求したことさえあります。

 しかし、一人ひとりにていねいに応じられる少人数学級が子どもの成長に大きな効果のあることは自明の理です。6月のコロナ下の「分散登校」でそのことを全国の人々が実感しました。だからこそ大きな世論がおきたのです。

 少人数学級を求める署名には、教員や保護者から次のような声が寄せられています。

 「分散登校をしていたころの学校では、子どもたちは非常に落ち着いて学習ができていましたし、登校をしぶっていた児童も安心した表情で学校生活を送ってました。教員の誰もがこの人数(定員の半分20人)なら世界のどこの国にも負けない高い水準の教育ができると実感しました」

 「先生が子どもの個性を認め、生徒も多様な気づきをしてほしい。現状、先生は、生徒全員をカリキュラムに沿って教えるので手いっぱいで、一人ひとりの話を聞いている余裕は無いように見える」

 少人数学級を求める国民の声は、“子どもに良質な教育を”という希望にあふれています。

 コロナのもとで身体的距離の保障としても少人数学級は不可欠です。スーパーの買い物でも距離に配慮しています。子どもは「なぜ学校は変えないのか」と率直な疑問を抱いています。菅義偉政権は、こうした国民の声に耳を傾け、少人数学級を決断すべきです。

 文科省は財務省にも遠慮して10年かけて小中学校を「30人学級」にする計画などを検討中といいます。しかし、国民が求めているのは身体的距離もとれる20人程度の学級です。教員確保の観点から“まず30人学級”といった段階が必要としても、“30人学級を10年で”では遅すぎます。

 さらに高校が対象から外れています。多くの学級が40人かそれに近い高校こそ少人数学級が急がれます。私立学校の少人数学級は「事項要求」に入っていますが、予算を必ず確保すべきです。

教員の確保へ処遇改善を

 少人数学級には教員の確保も課題です。異常な長時間労働から教職を敬遠する傾向が強まり、各地で教員不足が深刻化しているからです。長時間労働の是正、教員の処遇の改善と正規化、教員免許更新制の廃止が求められます。

 日本共産党は政党としていち早く「子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう」と訴えてきました。少人数学級は、文字通りの国民的課題です。必ず充実した形で実現するために、世論と運動を広げることを心から呼びかけます。


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