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2020年9月30日(水)

食料支援広がる輪

民青など31都道府県77大学213回

食費削った 友達できない…学生の不安に

 日本民主青年同盟(民青)などが学生と一緒に行っている、コロナ禍で困窮する学生への食料支援が、全国31都道府県(計画含む)に広がっています。学生らに喜ばれ、交流・連帯する場になるとともに、行政などを動かす取り組みに発展しています。(菅原碧衣)


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(写真)食品などを選ぶ学生たち=28日、東京都東久留米市

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(写真)食材を受け取る学生ら=26日、福岡市城南区

 食料支援はこれまで全国77大学で213回実施。約7000人の学生が利用し、生活を支える活動となっています。毎週実施している地域もあり、高知県では5月から37回実施しています。

 大阪の取り組みがNHKの地元ニュースで報道されるなど社会的注目も集めています。

 支援を受けた学生からは「食料支援をしてくれて本当にありがたい」(東京都)「大学にも行けず1人だったから話を聞いてくれてうれしい」(高知県)と喜びの声とともに、「親の収入が新型コロナの影響で減っている。その分は食費を削っています」(埼玉県)「新型コロナの感染拡大で外に出られず、就活インターンも中止になった」(高知県)「オンライン授業が続き、友達もできず不安です」(宮崎県)など窮状を訴える声が上がっています。

 東京都内の大学2年生からは「もう退学を決めました。学費が年間で160万円かかり、奨学金とアルバイトでやっていましたが、バイトがなくなり払えなくなった」という切実な声が寄せられました。

 食料支援には学生がボランティアで参加したり、支援を受けた学生が自ら今度は支援に回る動きも出ています。

 SNSでボランティア募集を見て参加した高知県の大学1年生は「さまざまな学生と話せてうれしい。話題になるのは、オンライン授業への不安です。安心して授業の受けられる環境をつくってほしい」と話します。

 東京都の大学4年生は「1年生は友だちもできず、国や大学の制度が分からず困っています。食料支援を機に相談に乗り、助けてあげたい」といいます。

1人もおいてきぼりにしない

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(写真)文部科学省の担当者(左から3人目)に要請書を渡す民青埼玉県委員会の佐藤一馬委員長と(右から)日本共産党の塩川鉄也、伊藤岳の両国会議員ら=8月27日、参院議員会館

 食料支援は、物資の提供などで地域住民に支えられています。

 手作り総菜を提供している女性(69)=高知県=は、「一食でも楽しく食べてほしいと思い提供しています。学生が元気になってつながり、社会を良くする力になってくれたらうれしい」。

 東京都の男性(90)も、「本当は国が支援しないといけないのに、学生が同じ仲間を助けようと活動していると知って何か力になりたいと思った。学生が連帯して頑張ってくれたらうれしい」と話します。

 各地で、食料支援にとどまらず、大学や行政に学生の声や実態を届け、支援を求める活動に発展しています。

 埼玉県では、民青埼玉県委員会が8月25日と27日、食料支援などで集めた学生の声をもとに、バイトなどの収入減に対する補償や相談などを求めて、さいたま市と文部科学省へそれぞれ要請しました。

 宮崎県では、民青宮崎県委員会が11日、学費の一律半減や学生への給付金の対象拡大などを国に求めるよう県議会に請願書を提出しました。

 スタッフとして参加している学生は、「食料支援をしていて、学生の自助だけでは限界があると思いました。国や県に長期的な給付金制度など支援をしてもらいたい」と語ります。

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(写真)民青北海道委員会の食料支援で食料品を手にする学生たち=8月23日、北海道江別市

 北海道では、民青北海道委員会が24日、江別市に対し、市の学生支援給付金の対象者拡大と受付期間の大幅延長を要請しました。市は、受付期間を10月31日までの1カ月間、延長すると答えました。

 要望した大学生は、「市には学生の実態がしっかり伝わっていないと感じた。これからも食料支援を通してつかんだ学生の実態を行政に届けていきたい」と話しています。

 民青の小山農委員長は、22日の第2回中央委員会で、「コロナ危機で青年が深刻な事態に追い詰められると同時に自らの力で社会を変えていく流れが生まれている」と指摘。要求実現に取り組み、新しい社会を求める青年とともに政治を変えていく取り組みを広げようと訴えました。

 民青北海道委員長の宮内史織さんはこう語ります。「今回の要望で学生支援は一つ前に進めたと思います。支援を受けられない学生を一人も残さないように、青年と力をあわせて政府や自治体に求めていきます」


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