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2020年9月29日(火)

国の医療機関支援 遅すぎる交付

届くのは12月の例も

借金増 現場の経営圧迫

 安倍前政権が2020年度第1次・2次補正予算で設けた「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)」の各事業について、医療現場への交付があまりに遅すぎる実態が厚生労働省の調査で分かりました。現場では、コロナ禍で経営が悪化した多くの医療機関が、多額の借金で経営を維持している状況に悲鳴が上がっています。

厚労省調査

 厚労省は、都道府県が行う各事業の8月時点の交付開始予定日を調査。重点医療機関でのコロナ患者用の病床確保料は9月下旬や10月からの交付が27都道府県で、残りは9月中などと答えました。

 疑い患者用を含めた病床確保料は21都道県が9月下旬や10月からと回答。疑い患者を診察する救急・周産期・小児医療のいずれかの医療機関での感染対策費用の支援金は、34都道府県が9月下旬や10月、11月中(石川県は「10月中」に変更)に始めるとするなど現場の実態に合わないテンポです。

 感染拡大防止への支援として医療機関の従事者に1回だけ5万~20万円を給付する慰労金は、他県より遅い11府県が9月下旬や10月下旬からと回答。対象者すべての手元に届くにはさらに日数を要するため、「12月になるだろう」(日本医労連の1日発表調査)との現場の声も出ています。

 厚労省は「早期の交付」を求めていますが、一部の県では1次補正予算分も交付できないうちに2次補正が決まり、手続きが遅れている実態もあります。

山梨県では独自給付金

 「早期交付」へ努力も生まれています。山梨県では県独自の給付金を使って空床確保補助を一部“前払い”する例も。日本共産党の小越智子県議の議会論戦や医療団体の要請行動が実を結びました。

 国の支援金については、日本医師会の中川俊男会長も「まだまだ不十分だ」との声を示し、「損失補填(ほてん)も排除せず、大胆な追加支援を」(9日の記者会見)と求めています。


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