しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年9月15日(火)

主張

自民新総裁に菅氏

安倍政治の継承と推進の危険

 安倍晋三首相の辞意表明にともなう自民党総裁選挙の結果、新総裁に菅義偉官房長官が選出されました。安倍首相を7年8カ月以上官房長官として支えてきた菅氏は、安倍政治を全面的に継承し、推進する立場を鮮明にしています。内政でも外交でも行き詰まった安倍政権の中枢にいた菅氏を党内の主要派閥がこぞって支持し“圧勝”させました。菅氏が率いる自民党に、安倍政治の一新を求める国民の願いを託すことができないのは明らかです。

消費税の再増税にも言及

 自民党総裁選は、菅氏と岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3氏で争われました。

 菅氏のスローガンは「自助、共助、公助」というものでした。収束の見通しがたたない新型コロナウイルスの感染拡大の中で、国民に「自助」や「自己責任」を迫ることは、政治の役割放棄です。

 総裁選の論戦で際立ったのは、安倍政治を賛美し、その加速を売り物にし続ける菅氏の姿勢です。

 安倍首相の経済政策「アベノミクス」は、経済を再生するどころか貧困と格差を拡大したというのに、菅氏は「引き継いでいく」と明言しました。暮らし破壊への反省はありません。菅氏は消費税の税率引き上げも「将来は否定しない」と増税まで示唆しました。安倍首相の下での2回にわたる消費税増税が、国民の消費を落ち込ませ、日本経済を不況のどん底に突き落としていることへの、痛みを全く感じないのか。菅政治の危険性を浮き彫りにしています。

 菅氏は、安倍首相が固執している改憲についても、「取り組む」と断言しました。憲法9条に自衛隊を明記する改憲案を掲げる主張は、安倍首相と変わりありません。国民多数が改憲を望まないことを無視するものです。

 菅氏が官房長官と兼務の「沖縄基地負担軽減担当相」の名で推進した沖縄・辺野古での米軍新基地建設についても、「進めていく」と全く姿勢を改めようとしません。沖縄県民と国民の多くが反対しているのに、その声に耳を貸さないのは重大です。

 民意に逆らう菅氏の立場をはっきり示したのは、安倍政権下で連続した「森友学園」「加計学園」「桜を見る会」など、一連の疑惑の解明への否定的な態度です。菅氏は「森友」疑惑は、財務省が調査し検察が捜査したので、「結果は出ている」と再調査に背を向け、「加計」疑惑でも、「オープンなプロセスだった」と開き直りました。

 一連の疑惑では公文書の廃棄や改ざんが大問題になりましたが、菅氏は「二度と起こしてはならない」と、全く人ごとのようです。官邸官僚らの関与も指摘される疑惑では、官房長官としての菅氏自身の責任も問われています。居直りは許されません。

国民は転換求めている

 総裁選中に行われた共同通信の世論調査では、「アベノミクスを見直すべきだ」が58・9%(「東京」10日付など)、安倍首相の改憲姿勢を「引き継ぐ必要はない」が57・9%(同)でした。国民の願いは安倍政治の継続でなく転換です。

 自民党の新総裁に選出された菅氏は、16日から始まる臨時国会で首相に指名されれば、菅内閣を発足させます。安倍政治を継承・推進する政治に代わる、新しい政治の実現が不可欠です。


pageup