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2020年9月8日(火)

きょうの潮流

 国名が「低地の国」を意味するオランダは、国土の4分の1が海面よりも低い。街には運河や橋がはりめぐらされ、水と苦闘してきた歴史がしのばれます▼数々の水害にみまわれてきた国の治水対策は先進です。たとえば何年に一度の高潮や洪水に耐えるかを示す洪水防御基準。地域によっては3年前から「3万年に1回の高潮・洪水」に。さらに2050年までに「10万年に1回」に引き上げようとしています▼比べて日本はどうか。国の水害対策を担当していた人たちは「著しく低い水準にとどまっている」と口をそろえます。安全や安心の確保にはほど遠く、予算も少ない。『グレタさんの訴えと水害列島日本』(学習の友社)のなかで、元秋田大教授の岩渕孝さんが厳しく指摘しています▼気象庁が最大級の警戒を呼びかけた台風10号は九州・沖縄を中心に大きな爪痕を残しました。行方不明や多数のけが人、家屋の損傷。地球温暖化の影響がいわれるいま、雨と風はますます荒れ狂っています▼今回の被害は停電や通信障害、交通網の寸断と社会基盤にも広く及びました。これだけ次々と災害に襲われる現状があるのに国の備えは不十分なまま。国民の安全に直結する対策を怠っておきながら自分の命は自分で守れとは、あまりにも無責任ではないか▼「自らの命と財産を守るためには、まずは行政主導の防災施設とソフト対策の抜本的な強化を国や自治体に求めていかなくては」と岩渕さん。つくり変えるのは先をみすえた国の土台です。


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