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2020年9月6日(日)

きょうの潮流

 『ドラえもん』のなかの一話。ある日、のび太の学校に転校生がやってきます。名前は多目(ため)くん。勉強も運動も自分より“ダメな子”がきたことをのび太は喜び、友だちになろうと…▼一緒にいて「親切」にしながら、優越感にひたるのび太。しかしドラえもんのひみつ道具によって“ダメ”な相手を下に見ていた自分のみにくさに気づきます。そして最後に真の友情を通わせます▼どこか別の部分にいいところをたくさん持った子だったのかもしれない。作家の辻村深月(みづき)さんは、おとなになって読み返すと、前向きな気持ちをもつ多目くんのことが気になるといいます。「世の中には、もっと広い範囲にたくさんの価値観があって、そこでの“できる”も、またたくさんある」▼子どもが憧れる職業につく人たちが思いを伝える『おとなになるのび太たちへ』につづっています。何か定まった物差しで“いい子”“ダメな子”と決めつけない大切さを▼日本の子どもの精神的な幸福度は最低レベル―。ユニセフがこんな調査を公表しました。先進や新興の38カ国を比べたら、身体は健康だが、心や生活の満足度は低い結果に。自己を肯定できない子が多いのは、競争をあおる教育や貧困、自助を強要する政治と無関係ではないでしょう▼『ドラえもん』が世に出て50年。亡くなった作者の藤子・F・不二雄さんは、自身も子どもの頃は“のび太”だったと。失敗や人から劣っても、いいところを認めあえる自分や社会でありたい。ねえ、ドラえもん。


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