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2020年9月6日(日)

安倍政権追い詰めた7年8カ月(5)

不当な生活保護攻撃に反撃

表:自民党議員の主な生活保護敵視の発言

 「自民党は生活保護バッシングを政権奪還の原動力にし、政権復帰後も生活保護を敵視する政策を貫いてきた」

 長年貧困問題に携わってきた稲葉剛立教大学客員教授は、新型コロナウイルスの影響で民間の生活困窮者支援の現場はいま、住まいを失った人から次々とSOSが入る「野戦病院」のような状況だと語ります。安倍政権が最後のセーフティーネットと呼ばれる生活保護を破壊してきたことが、コロナのもとでの貧困問題を深刻にしているといいます。

活用を妨げ

 転機は自民党が野党だった2012年です。人気タレントの母親の生活保護受給が批判的に報じられると、同党は即座にプロジェクトチームを立ち上げ、給付水準10%削減案を発表。所属議員からは受給者をさげすむ発言が続きました。

 コロナで派遣の仕事がなくなり路上生活も経験した北岡保さん(40歳、仮名)。7月から生活保護を受けはじめたものの、当初は申請を勧められても拒み続けました。「保護を受けるのは恥ずかしいことだという思いが強かった。若いのに申し訳ないとも。親戚がいれば受けられないとも思っていた」

 日本福祉大学の山田壮志郎准教授は、メディアや自民党議員らによる生活保護バッシングが、以前からあった否定的な見方をいっそう強めたと強調。「コロナで生活不安が広がっているいまこそ生活保護の出番なのに、その活用を妨げる要因になっている」と語ります。

 安倍晋三氏は12年9月に党総裁に返り咲くと、12月の総選挙の公約に給付水準の10%削減を明記。政権交代後も真っ先に改悪に着手し、13年に平均6・5%、最大10%という過去最大の給付水準引き下げを強行すると、その後も改悪を繰り返してきました。

 山田さんは、14年に行った市民意識調査で、不正受給や保護費でのギャンブルには問題視する回答が約9割に上ったのに、給付引き下げや扶養義務強化では「国民感情」と呼べるほど強い不満はみられなかったと指摘。安倍政権はごく一部の問題を取り上げて生活保護を攻撃することで、国民合意になっていない給付水準引き下げを進めたと語ります。

全国で裁判

 反撃も起きています。全国29都道府県で計1025人が原告となり安倍政権の給付水準引き下げの違憲性を問う裁判がたたかわれています。

 安倍首相は6月15日の参院決算委員会で日本共産党の田村智子副委員長に「(生活保護を)ためらわずに申請してほしい」と答弁しました。

 「安倍首相をして生活保護の重要性を認めざるを得なかった答弁。生活保護を充実させる運動がいっそう重要になっている」(山田さん)(つづく)


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