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2020年9月5日(土)

「安倍政治」とのたたかいの決着は、総選挙でつけよう

全国都道府県委員長会議 志位委員長の中間発言

 日本共産党の志位和夫委員長が3日の全国都道府県委員長会議で行った中間発言はつぎの通りです。


写真

(写真)発言する志位和夫委員長=3日、党本部

 みなさん、こんにちは。新型コロナ危機と猛暑のもとでの全党のみなさんの大奮闘に、心からの敬意と感謝を申し上げます。

党勢拡大運動の質が大きく変わりつつある

 今日の会議の主題は、すでに小池晃「特別月間」推進本部長の報告でつくされています。6月、7月、8月、3カ月の全党の奮闘によって築いてきた到達に自信をもち、これを土台にして、この9月、力をあわせて「特別月間」の目標を掛け値なしにやり抜こう。これが主題であります。

 報告の提起を正面から受け止めた豊かな討論が始まっています。討論を聞いておりまして、党員拡大運動、党勢拡大運動の質が大きく変わりつつある。「支部が主役」の未来ある法則的な運動が広がっている。そのことを示す発言が続いていることは、たいへんにうれしく、また重要だと感じております。全国の経験交流を行い、目標達成への決意を固めあう会議にしていきたいと思います。

情勢の急変のもと、国民のなかに広く打って出る活動が重要となっている

 私は、現在の政治情勢とわが党の政治姿勢について、若干の補足的発言をしたいと思います。

 小池本部長の報告では、「特別月間」の成功のとりくみと一体に、「解散・総選挙がいつあっても対応できるとりくみ」の必要性を訴え、予定候補者を先頭に、国民のなかに広く打って出て、宣伝・対話を広げることを呼びかけました。打って出る――これは情勢が急変するもとできわめて重要な活動であります。

 来たるべき総選挙にどういう基本姿勢でのぞむか。広く国民のなかに打って出てという場合、どういう内容を訴えていくことが大切か。現時点で重要だと考える点についてのべたいと思います。

自民総裁選の状況――「安倍政治」とのたたかいは決着がついていない

 私は、8月28日、安倍首相の辞任表明を受けて、直後の記者会見で、「一つの新しい激動的な時代が始まった」とのべました。こうした攻勢的なとらえ方が大切だということは、午前中の発言でも強調されました。

 安倍首相の辞任表明は、直接は健康悪化が理由ですが、内政、外交、コロナ対応、あらゆる面での「安倍政治」の行き詰まりの結果にほかなりません。「安倍政治」をここまで追い詰めた力――国民の世論と運動、市民と野党の共闘、そして日本共産党の奮闘に大いに確信をもって意気高く攻勢的にたたかいたいと思います。

 同時に、いま行われている自民党の総裁選挙の状況にてらしても、「安倍政治」とのたたかいは決着がついていない。たたかいは続くということを強調したいと思います。

 7年8カ月の安倍政権は、たくさんの「負の遺産」を残しました。そのなかでも最悪の暴政は、2015年9月に行われた憲法違反の安保法制=戦争法の強行でした。これは日本の国のあり方を根本から覆す歴史的暴挙だっただけではありません。憲法解釈の乱暴な改ざんは、「森友・加計問題」、「桜を見る会」の問題など、あらゆる分野での政治のモラル崩壊につながっていきました。憲法という最高法規の解釈の改ざんを平気で強行して恥じない政権、憲法をも私物化した政権は、あらゆる問題で、国政の私物化への道を暴走していったのであります。

 安倍政権がこの歴史的暴挙を強行したさいに、いま後継総裁に名乗りをあげている3人の「有力候補」がすべて閣内でこの暴挙を推進したことを忘れてはなりません。3人とも、もっと広く見れば、自民党・公明党の全体が、立憲主義破壊、憲法破壊に重大な共同責任を負っているのであります。

 そして今、自民党の総裁選のなかで、自民党内で、「安倍政治」の礼賛、「安倍政治」の継承の大合唱が起こっていることは、目を覆うような異常な光景といわなければなりません。安倍首相の辞任表明は、「安倍政治」の行き詰まりの結果なのに、行き詰まった路線を続けるほかに選択肢をもたない。いわば「二重の行き詰まり」に陥っているのが今日の自民党であります。

 これまでならば、首相が退陣表明すれば、後継首相を目指す者は多少とも目先を変えた新しい方向を訴えるのが当たり前でした。ところがそれをやるだけの活力が今日の自民党にはもはや存在しない。ここには日本の政権党の陥った劣化・硬直化・政治的退廃がまざまざと示されているではありませんか。

決着は総選挙でつけよう――市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進を

 こうして、安倍首相が辞めても、「安倍政治」とのたたかいは決着がついていません。追い詰めはしたけれども決着はついていない。たたかいは続きます。この決着は総選挙でつけなければなりません。

 同志のみなさん。来たるべき総選挙を、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、政権交代をかちとり、「安倍政治」を名実ともに終わらせ、野党連合政権に道を開く選挙にしていくために力をつくそうではありませんか。

 報告では、後継首相に誰がなっても、「政治的基盤がより不安定な政権」になると指摘しました。「より不安定」という場合、選挙で審判を受けていないということにくわえて、行き詰まった「安倍政治」を続けるという点でも「より不安定」な政権になることは避けられないでしょう。政局は不安定で流動的な新局面に入ったといえます。

 こうした新しい政治局面で、解散・総選挙がいつあっても対応できるように――もっと端的に言えば、早い段階での解散・総選挙にも対応できるように、積極的なとりくみを行うことが重要であります。

 そして、そのためにも、この9月、「特別月間」の目標を掛け値なしにやりぬき、この運動を成功させることが決定的に重要であります。これこそが選挙で勝つ最大の力となります。「特別月間」の成否は、総選挙の勝敗に直結しています。このことをお互いに肝に銘じて、心を一つに、頑張りぬこうではありませんか。

「安倍政治」が残した「負の遺産」を一掃することが急務となっている

 「安倍政治」が残した「負の遺産」とは何か。この政治からの「転換の方向」とはどういうものか。

 第28回党大会の第一決議で深い解明がなされていることに、あらためて注目し、しっかりと生かすことが大切であります。

 「負の遺産」という点では、第一決議では、安倍政権の7年間を「憲法と平和、暮らしと経済、民主主義と人権などあらゆる分野で……史上最悪の暴政の連続だった」と指弾し、つぎの五つの角度から徹底的で全面的な告発を行っています。

 第一。「憲法と立憲主義の破壊――『戦争する国』に向かう暴走政治」

 第二。「戦後最悪の大増税を押し付け、暮らしと経済を根こそぎ破壊」

 第三。「大国に追随し、覇権主義にモノが言えない屈従外交」

 第四。「侵略戦争と植民地支配を美化する歴史逆行と排外主義」

 第五。「強権とウソと偽りと忖度(そんたく)の、究極のモラル破壊の政治」

 すでに大会の時点で全面的な総括をやっているのです。

 これらの「負の遺産」を一掃する。一掃することが、日本の政治をまともにしていくうえでの急務となっております。

 大会後、新たに加わった大問題としては、「行き当たりばったりのコロナ対策の失敗」もきわめて重大です。とりくみを検証し、間違いをただし、命と暮らしをまもるために根本的な方針の切り替えを求めて、たたかっていく必要があります。

「転換の三つの方向」と「七つの提案」――この旗を掲げ野党連合政権に道を開こう

 それでは「転換の方向」はどうか。これも大会決定で、大局的には答えが明記されています。報告でも引用されましたけれども、第一決議では、つぎの「安倍政治からの転換の三つの方向」を打ち出しました。

 「第一に、憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する。

 第二に、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる。

 第三に、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く」

 7月15日に行った党創立98周年の記念講演では、新型コロナ危機の体験をふまえて、新自由主義からの転換、「ケアに手厚い社会」をはじめ「七つの提案」を行いました。これらは、大会の第一決議が打ち出した「転換の三つの方向」をより豊かなものにする内容になると思います。

 この間の野党間の話し合いでも、こうした転換の方向性は野党間で共有されつつあります。この方向性をしっかりと共有し、それを土台に政権をともにつくる合意を確認し、共通政策をより豊かなものにし、選挙協力の具体化を進めるために力をつくしたいと思います。

 同志のみなさん。来たるべき総選挙を、「安倍政治」の「負の遺産」を一掃し、「安倍政治からの転換の三つの方向」「七つの提案」の方向で新しい政治をつくる――この旗を掲げて、野党連合政権に道を開く選挙にしていこうではありませんか。

「特別月間」の成功は、歴史的事業を達成するうえで、決定的な推進力になる

 「特別月間」を成功させ、強大な日本共産党をつくることは、この歴史的事業を達成するうえで、決定的な推進力になります。その運動をすすめるさいには、報告が訴えたように、記念講演とそのダイジェストDVD、「入党のよびかけ」を大いに活用していただければと思います。

 同時に、「新しい激動的な時代」が幕を開けたもとで、街頭宣伝やハンドマイク宣伝など、国民のなかに広く打って出ることがきわめて大切です。午前中の発言でも、その重要性が強調されました。そのさいには、いまお話しした基本姿勢を踏まえて、縦横な訴えをしていってほしいと思います。

 「特別月間」を全党が心ひとつに何としても成功させ、来たるべき総選挙での勝利を必ずかちとることを訴え、私たち中央もともに奮闘する決意をのべて、発言といたします。


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