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2020年8月31日(月)

NHK日曜討論 小池書記局長の発言

 日本共産党の小池晃書記局長は30日放送のNHK「日曜討論」で、安倍晋三首相の辞任表明(28日)の受け止めや安倍長期政権の評価、新型コロナウイルスの対応などについて各党代表と議論しました。


 小池氏は、安倍首相の辞任表明について「病気が理由での辞任ですからやむを得ないと思います。十分に治療して回復されることを願っております」と述べました。

 そのうえで、コロナ対応をはじめ課題は山積しており国政は一刻の空白も許されない状態にあると指摘し、「速やかに臨時国会を開催して後継首相を指名し、新首相のもとで衆参の本会議代表質問、予算委員会をしっかり行うことを強く求めたい」と発言。「わが党はあらゆる分野で安倍政権と対決してきました。これからも市民と野党の共闘で、自民党政治を大本から切り替えるために力を尽くしていきたい」と表明しました。

安倍政権の評価

 7年8カ月に及ぶ安倍長期政権の評価について議論となり、自民党の世耕弘成参院幹事長は「アベノミクスでデフレではないという状況にまでもってこれた」「非常に外交が上手だった」と発言。公明党の斉藤鉄夫幹事長は安保法制で「日本の抑止力をおおいに高めた」などと語りました。

 小池氏は「安倍政権の7年8カ月で日本の民主主義も国民の暮らしも経済も外交も、その土台が壊されてきた」と強調。憲法をないがしろにして集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行し、安保法制=戦争法や特定秘密保護法などの違憲立法を数の力で通してきたことや、2度にわたる消費税増税で国民生活と経済に打撃を与えてきたと批判しました。

 さらに小池氏は、沖縄の民意に背いてアメリカ言いなりに辺野古の米軍新基地建設を強行し、千島列島を不当占拠するロシアにも香港での人権弾圧や尖閣諸島への領海侵犯を繰り返す中国にもモノが言えなかったことをあげて「『上手』どころか屈従外交だ」と指摘。コロナ対策での迷走と無策にもふれて「今回の辞任表明は、こうした政治の深刻な行き詰まりの結果だと思うし、これまでのような『安倍政治』と決別をして、いよいよ新しい政治へと転換するときだ」と語りました。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長も安倍政権の経済政策について「国民生活は実質賃金があがらず、格差が増えた」との認識を示し、国民民主党の泉健太政調会長も「安倍政権は基本的にトリクルダウン。上から経済をよくして、その恩恵が国民に行き渡ることを想定していたが、やはり国民には行き渡らなかったことが問題だ」と語りました。

 小池氏はまた、安倍首相が辞任表明の会見で「森友・加計問題」や「桜を見る会」などに関して「政権を私物化したつもりはない」と語ったことについて、自分の友達のために国有地を破格で払い下げ、その文書改ざんを強いられた官僚が自ら命を絶ったことにふれて「誰が見たって私物化だ」と批判。「公文書改ざん、虚偽答弁の繰り返しで政治への信頼が大きく損なわれた。これは辞任で幕引きすることはできない。単なるスキャンダルではなく民主主義の根本だ。引き続きこの問題は徹底的に追及しなければいけないし、疑惑解明は党派を超えた国会の責任だ」と表明しました。

 これに対して自民・世耕氏は「安倍総理が私物化して私的な利益を得たことはまったくない」などと述べたため、立民・福山氏は「私的に利益を得たとか得ないという問題ではない。改ざんした官僚組織に対し自民党自身も全部目をつぶってきた。そこが問題だ」と反論しました。

今後の政治は

 今後の政治に求められることについて各党の考えを問われ、自民・世耕氏は「基本的には安倍政権の路線を今後の政権もしっかり継続していく必要がある」と述べました。

 小池氏は「安倍政権が行き詰まって長期政権が終わりを告げた。日本の政治は新しい局面に入り、激動する時代が始まった」と強調しました。「自民党内の政権たらいまわしでは安倍政治と決別することはできない。市民と野党が力を合わせて政権交代を実現しなければならない。そのためには解散・総選挙がいつあっても対応できる構えを野党として速やかにつくるべきだ」と発言。「野党として政権構想を一刻も早くつくりあげ、自民党政治に代わる新たな選択肢を国民に示していく責任がある」とも語りました。

 立民・福山氏は、コロナ危機で医療、行政の機能が低下していることが明らかになったとして「国民の生活に対して機能できる、命と暮らしを守る政府をつくってほしいのが国民の望みだ」と強調しました。

新型コロナ対策

 最後に新型コロナウイルス対策について議論となりました。

 小池氏は、日本医師会の中川俊男会長が「収束に向かっているとは言えない。医療現場はひっ迫状況」と述べていることを紹介し、コロナ患者受け入れの有無を問わず医療機関全体、保健所への強力な支援を行うことや徹底した検査で感染者の隔離・保護をしていくことが重要だと指摘。政府が、感染流行地域の医療機関での定期的な検査などを都道府県に対し要請するとしたことについては「一歩前進だ。ならば、どこが感染流行地域かを政府として明確にして、きちんと費用を持ち、検査体制もしっかり支えていくことを求めたい」と語りました。

 自民・世耕氏は、コロナ対策について「日本の経済の落ち込みなどは欧米に比べて低く抑えられている」と述べました。これに対して小池氏は「欧米と比べて良いという認識では困る」と指摘。非正規雇用労働者の解雇が相次ぐなかで、パート・アルバイトに対する休業支援金は予算が5400億円だが実績は40億円しかないことや、売り上げが減ったテナントを支援する家賃給付金も29万件の申請に対して実績が2万件しかなく必要な人に届いていない実態を紹介し、「こういう実態があることをきちんと見据えて、しっかりと責任をもった対策をとっていただきたい」と述べました。


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