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2020年8月31日(月)

きょうの潮流

 「インフォデミック」という言葉を知っていますか? インフォメーション(情報)とエピデミック(感染症の急速な流行)の混成語で、デマやうわさを含む大量の情報が拡散される状況を指します▼コロナ禍で、このインフォデミックが起きています。未知のウイルスへの恐怖と先の見えない不安から、新型コロナは中国の生物兵器だとする陰謀説や、虚偽の物資不足予測、お湯を飲めばウイルスは死ぬといった根拠のない予防法まで▼中でも特定の対象への誹謗(ひぼう)中傷は深刻です。パチンコ店や“夜の街”関連、在日外国人など日本社会で疎外されがちな人々に感染源のレッテルを貼って排除し、つかの間の安心を得ようとする。治療に献身する医療従事者への差別に至っては、人道にもとる所業です▼アメリカの作家スーザン・ソンタグは、がん体験に基づく批評『隠喩としての病い』で、原因不明で治療法のない病ほど「堕落、退廃、汚染、無秩序、弱さ」と同一視され「悪の隠喩」となると指摘します。患者も「悪」として自己責任を追及され、病を生み出す社会の問題から人々の目をそらさせる、と▼ソンタグはまた、こうした病気観が「複雑なものを単純化する傾向を必ず助長し(略)自分は絶対に正しいとする思い込みを誘い出してしまう」と述べ、「自粛警察」など相互監視が広がる日本の現状を予見しています▼情報に踊らされず真実を見極め、悪者探しをせず、私たちの誰もが感染する可能性があるという想像力を持ちたいものです。


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