2020年8月24日(月)
PCR拡充 厚労省方針
党申し入れ 前向きの動き後押し
“自治体任せ”改める時
厚生労働省がこの間、相次いで新型コロナウイルス感染症対策としてのPCR検査など行政検査の対象を拡大する方針を地方自治体に示しました。しかし、いずれも自治体、現場任せの姿勢は変わりません。他方、自治体にはPCR検査拡充の流れが広がりつつあります。こうした流れをいっそう強め、地方から“自治体任せ”の政府の姿勢を改めさせる時です。
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地域から拡充具体化の動き
日本共産党は7月28日、安倍晋三首相に対して新型コロナ対策に関して「緊急申し入れ」を行いました。この中で、PCR検査の拡充について、(1)感染震源地(エピセンター)を明確にし、その地域の住民、事業所の在勤者全体を対象に網羅的に、「面」での検査を行う(2)医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校など集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員等への定期的な検査を行うこと―などを要請しました。
日本共産党の「緊急申し入れ」の後、日本医師会の有識者会議や超党派の「医師国会議員の会」が、政府に対し感染震源地でのPCR検査の抜本的な拡充をそれぞれ提言・要請しています。
厚生労働省は、こうした動きを無視できず、新たな方針を相次いで示しています。
厚労省は7日の「事務連絡」で、「現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能」との見解を示しました。それまで「点」でとらえていた検査対象を「面」でとらえる方向を打ち出しました。
さらに18日に改定版を公表した「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&A」では、感染者が多数発生していると考えられる地域では、「医療施設、高齢者施設等」に勤務する人や入院・入所者に「幅広く行政検査を実施していただくことは可能」としました。感染リスクの高い施設での定期的検査につながる方向です。
ところが、いずれの方針も、「することが可能」というだけで、あくまでも自治体の判断、施設の判断とする姿勢は変わっていません。
日本共産党の志位和夫委員長は20日の記者会見で、政府の姿勢が自治体任せになっていることは大きな問題だと指摘し、「政府が自ら主導して検査の抜本的拡大で感染拡大を抑止するという姿勢が見えてこない。これでは事態が打開できない」と強調しました。
いま、地方自治体では、PCR検査をめぐり積極的な動きが広がっています。
東京都千代田区では、区内の介護施設の全職員にPCR検査を行うとしています。那覇市では、市内有数の歓楽街・松山地域で大規模なPCR検査を実施。市や県医師会などが協力し、8月1、2日の2日間で2064人を検査し、88人の感染者を発見するなど無症状感染をあぶりだしました。
報道によれば、石川県では、医療機関など「重症化のリスクの高い集団」で感染が確認された場合、「濃厚」ではない接触者まで検査を広げるとしています。栃木県那須塩原市では、市内の温泉旅館従事者に対し、8月下旬からPCR検査を実施するとしています。
PCR検査の抜本的拡充を求める市民や関係団体の運動、地方自治体が主導する取り組みの流れが、政府の姿勢を変えさせる力になります。