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2020年8月23日(日)

きょうの潮流

 正しいことを正しいといえる。世の中の常識と組織の常識を一致させる。ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される。そういう信念をもって、たたかえ▼そんなことを会社の上司から面と向かっていわれたら、あなたはどうしますか? 現実には通用しない、青臭い理想論―。心の中でそうつぶやく人もいるのでは。しかしいま、正論を堂々と訴える人物が世間の喝采を浴びています▼7年ぶりに帰ってきたドラマ「半沢直樹」です。今回の敵は企業買収の裏で暗躍する巨大銀行の陰謀、航空会社の再建に絡んだ国家権力の私欲。それを打ち砕いていく活躍ぶりと、決めぜりふが熱い▼配役の歌舞伎役者たちの大仰な演技、顔を近づけての怒鳴り合い、男ばかりの舞台と、ツッコミどころは満載。なのに多くが引きつけられるのは、単なる勧善懲悪や復讐(ふくしゅう)劇の痛快さにとどまらない姿を感じているからでしょうか▼「当たり前のことができる会社や社会になってほしい」。寄せられるたくさんの声は自身の体験を交えながら正義が貫ける世をもとめています。不正や理不尽がまかり通る現実を反映するかのように▼まじめに働く者や人間の誇りを描いてきた原作者の池井戸潤さんは以前本紙に語っていました。「救いを書かなければ、小説として存在する意味がない」。組織が腐れば、世の中も腐る。きみたちのたたかいは、この世界をきっとよりよくしてくれるはずだ―。そんなエールを受けとめながら、半沢直樹の“倍返し”を楽しみたい。


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