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2020年8月20日(木)

主張

コロナと熱中症

危険な暑さから命守る対策を

 猛烈な暑さが日本列島の各地を襲っています。最高気温35度を超す猛暑日となった観測地点が相次ぎ、熱中症の疑いで救急搬送される人が急増しています。今年の夏は、新型コロナウイルスの感染が再拡大するという、これまでとは全く異なる状況になっています。感染症と熱中症の双方に対して厳重に警戒するとともに、万全の備えを整える努力と工夫が欠かせません。命を危険にさらす猛暑から国民を守るため、国や自治体が、さまざまな分野で取り組みを進めることが重要です。

屋内で高まる死亡リスク

 消防庁の発表では、10~16日の熱中症による救急搬送者は全国で1万2804人に上りました。前週の約2倍です。うち約6割が65歳以上でした。高齢者は脱水になりやすく体温調整機能が弱い特徴があり、特に注意が必要です。

 屋内で熱中症になるケースが少なくありません。救急搬送された人のいた場所の半数近くが住居内でした。東京23区を管轄する東京都監察医務院によると、今月1日から17日までに亡くなった79人のうち、エアコンを使わない屋内にいた人は約8割の65人でした。エアコンを設置していない人だけでなく、あっても使っていない人もいました。夜間に死亡した人は32人でした。夜でも気温が下がらない中で、エアコンを適切に使うかどうかは命にかかわる問題です。

 エアコンを使うことを敬遠しがちな高齢者などに使用を促す声かけをはじめ、周囲からの見守りが欠かせません。とりわけ1人暮らしの人への対応が重要です。

 例年なら団地集会所などを涼める場所として開放した地域も、今年はコロナの影響でその実施は極めて困難です。接触の仕方に注意を払いつつ、電話による状況把握なども通じて住民を孤立させない取り組みが、多くの地域で行われています。そのような活動を支える公的支援も検討すべきです。

 エアコンは猛暑から命と健康を守る最低限の生活必需品です。政府もそのことを事実上認め、一昨年の「災害級」の猛暑を機に、生活保護を申請した人に対し、健康状態などの条件付きでエアコン購入費支給を開始しました。しかし、まだまだ必要な人に行き渡る規模と内容ではありません。故障した場合の修理費支給も認めていません。制度拡充が急がれます。安倍晋三政権がカットしてきた、光熱水費などの生活扶助基準の復活や夏季加算創設も行うべきです。

 夏休みの短縮により、多くの地域で学校が始まりました。マスクの使い方やこまめな水分補給への注意喚起など、コロナ感染症対策と合わせて熱中症から子どもを守るための教育現場の苦労は並大抵ではありません。子どもの安全を最優先に、現場が実情に見合った臨機応変な対応ができるようにすることが不可欠です。

医療機関の支援不可欠

 コロナによって医療提供体制がひっ迫する下で、熱中症患者が増える事態を防ぐために、政府が力を注ぐことが極めて重要です。

 同時に、熱中症は急変しやすく命にかかわります。医療機関がコロナの院内感染を防ぐ体制を整え、熱中症患者にちゅうちょなく対処できるよう、積極的な財政的な支援が必要です。医療現場をこれ以上疲弊させないために国が責任を果たすことが求められます。


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