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2020年8月15日(土)

主張

75回目の終戦の日

惨禍を繰り返さぬ決意新たに

 日本がアジア・太平洋戦争に敗北した1945年8月15日から75年です。絶対主義的な天皇制国家だった戦前の日本が海外での領土と利権の拡大を狙って始めた侵略戦争は、日本国民とアジアをはじめとする世界の諸国民に甚大な被害を与えました。新型コロナウイルスの感染拡大という戦後かつてない事態の中で、改めて平和の重みをかみしめ、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(日本国憲法前文)決意を新たにしたいと思います。

世界の流れに逆らい

 「8・15」を前後して戦争と平和に関連した書籍の出版やテレビや新聞での特集、映画の上映が相次いでいます。ドキュメンタリー映画「日本人の忘れもの」は戦争で国家に捨てられたフィリピンと中国の残留邦人の過酷な実態を描き、戦争被害を直視した作品です。

 日本の侵略戦争は、31年に当時「満州」と呼ばれた中国東北部で日本軍が始めた「満州事変」から本格化し、37年に中国全土、さらにアジア・太平洋全域へと拡大されました。敗戦までに310万人以上の日本国民と2000万人を超すアジア諸国民が犠牲になりました。日本国内だけでなくアジア諸国にも大きな被害を与え、その深刻な傷痕は今も消えません。

 日米関係史などを専門とする油井大三郎氏の近著『避けられた戦争』は、「満州事変」に至る日本と世界の動きを丹念にたどり、戦争回避の機会があったのに、無謀な戦争に突入していった当時の支配層の姿を浮き彫りにしています。

 戦争は自然現象ではなく避けられないものでもありません。第1次世界大戦後に生まれた不戦条約などの新しい平和の国際潮流に逆らい、侵略戦争に突き進んだ日本の軍部や政治家の責任は重大です。国民は真実を知らされず、戦争への批判や反対の運動は強権で弾圧されました。当時の翼賛的なマスメディアは政府と一体で、戦争遂行をあおり立てました。この過去は絶対にあいまいにできません。

 戦前の東条英機内閣の一員でA級戦犯容疑者だった岸信介元首相を賛美する安倍晋三首相には、日本の侵略戦争に反省がありません。それを鮮明にしたのは2015年の戦後70年にあたっての「首相談話」でした。「侵略」や「植民地支配」などの文言はちりばめたものの、日本が「国策を誤り」「植民地支配と侵略」を行ったという戦後50年の「村山首相談話」などに示された歴史認識は全くありません。油井氏の著書は、「安倍談話は、戦争にいたる過程が、欧米列強による『圧迫』などどこか『他人のせい』にされていて、主体的反省が欠如している」と批判しています。この姿勢では近隣諸国はもとより、国際社会からの共感も信頼も得られません。

9条こそ平和の力に

 過去の戦争への反省を欠いた安倍首相は、再び「戦争する国」になる9条改憲の旗を振り続けています。しかし、国民は「安倍改憲」を求めていません。日本世論調査会の調査では、日本が戦後、戦争をしなかったのは9条があったからと評価する回答が最多の47%です(「東京」2日付)。

 二度と戦争の悲劇を引き起こさないというのは、戦後日本の出発点です。「政府の行為」による戦争を繰り返させないため、安倍改憲などの策動を阻止しましょう。


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