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2020年8月14日(金)

きょうの潮流

 「あれだけ人を何百万人も殺して日本中を廃虚にした。その連中の責任を問わなくて、いい政治ができるわけない」。終戦の日を前にNHKスペシャルで語ったのは、読売新聞グループトップの渡辺恒雄氏です▼番組で渡辺氏は9条改憲の持論は封印し、学徒出陣の戦中派として軍国主義が嫌いだと強調していました。深く付き合ってきたという“大物政治家”たちの意外な一面も証言。戦争を体験した歴代首相には、日本が起こした戦争への反省があったといいます▼ただ、94歳になる渡辺氏のような戦中派の反省には、えてして盲点も。同世代の哲学者の鶴見俊輔さんはそこを批判していました。彼らの「平和への願望」には「平和であった時代にさえも日本が朝鮮、台湾、中国にたいして続けてきた不当な支配についての自覚と反省が見られない」と▼植民地支配への反省の欠如は戦中派だけでなく、戦後の自民党政治でも続いてきました。いま日韓関係の最大のトゲである徴用工問題も根は同じところに▼作家の平野啓一郎さんは賠償を命じた韓国大法院の判決を読んで、こうつづっています。元徴用工たちの人生は「悲惨としか言いようがない」「やはりこの人たちを足蹴(あしげ)にするようなことをしてはいけない」(『中央公論』4月号)。政府はこうした素直な反省になぜ立てないのか▼鶴見さんは、単なる現状維持の平和ではなく、強者の支配と不公平を正す「動的な平和観」が必要だと説きました。戦後75年に改めてかみしめたい言葉です。


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