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2020年8月6日(木)

カジノ汚職偽証依頼 淡路容疑者とは

マルチ商法192億円

首相との写真活用 被害拡大

 衆院議員の秋元司被告=自民党離党=が収賄罪で起訴されたカジノを中核とする統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件で東京地検特捜部は、淡路明人容疑者(54)ら3人を組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で逮捕(4日)しました。淡路容疑者が経営していたマルチ企業は、被害者から提訴されるなど問題になっています。マルチ商法の勧誘に活用されたのが淡路容疑者と安倍晋三首相が一緒に写った写真でした。(取材班)


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(写真)東京地検特捜部に逮捕された淡路容疑者とみられる人物(左)とともに写真におさまった安倍首相=男性提供

 淡路容疑者は、マルチ企業「48(よつば)ホールディングス」の元社長です。登記簿によると、2015年12月に同社を立ち上げ、19年8月に社長を辞任しました。4日に淡路容疑者とともに逮捕された佐藤文彦容疑者(50)は現在、同社の取締役を務めています。

 同社は15年12月ごろから「クローバーコイン」と称する仮想通貨を販売。17年10月に消費者庁から特定商取引法違反で取引停止命令を受けました。同社は、その直前にクローバーコインの販売を終了しています。業界紙によると取引停止命令の時点で約3万5千人の会員がいたとされています。関係者は「被害者には高齢者と若者が多い」といいます。

 クローバーコインは、新たな会員を勧誘すると報酬が得られる仕組みでした。こうしたマルチ商法は、連鎖販売により家族や友人との関係を破壊するなど問題がある取引形態です。

 消費者庁によると、同社は勧誘の際に「1カ月半後には10倍に値上がりする」「買わなきゃ損をする」などと虚偽の説明をして会員を集めていました。同庁取引対策課の担当者は、全国の消費生活センターに寄せられた同社に関する相談は「17年10月までに367件あった」と説明します。

 クローバーコインの販売拡大に活用されたのが、淡路容疑者ら同社幹部と安倍首相が並んだ写真でした。この写真は関門海峡花火大会が開催された16年8月に山口県下関市で撮影されたとみられます。関東在住の男性は知り合いから写真を送られ、「この写真を見せればみんなクローバーに入ってくる」と勧誘されたと証言します。

 日本共産党の田村智子議員は、参院予算委員会(3月4日)で、同社が16年9月ごろから売り上げを急速に伸ばし、17年6月までの10カ月間で192億円を超えたと指摘。「総理との写真が被害を拡大した」と安倍首相を追及しました。

 現在、被害者が同社に返金を求め、数十件の損害賠償請求訴訟を起こしています。

 淡路容疑者がIR汚職事件に関与した経緯や首相夫妻との関係は明らかになっていません。安倍首相は国会で説明責任を果たすことが求められています。


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