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2020年8月1日(土)

きょうの潮流

 亡くなる3カ月前。俳優の高倉健さんは自宅で、ある朗読の収録に臨みました。「日本が戦争に負けたらしいばい」。14歳のとき、ふるさとの福岡でむかえた終戦の日の記憶です▼戦争体験者として味わった「人生が変わる一瞬」を伝え残したい。そんな思いに突き動かされたといいます。いま東京・国立駅の旧舎で著名人の8月15日を文や絵、本人の肉声から感じられる展示会が開かれています。さまざまな感覚で戦争を受けとめるきっかけになってほしいと▼いまや、子どもたちの祖父母も多くは戦後生まれ。身近な人から戦争の体験を聞く機会がほとんどない世代にどうやって知ってもらうか。平和をつないできた人びとにとっても大きな課題になっています▼終戦の年に生まれ、長く戦争や原爆の詩を朗読してきた吉永小百合さんも危機感を抱いているひとり。先日テレビで語っていました。いつまでも戦後を続けるためには戦争は絶対やめようという意識をおとなも子どもも持たなければ。平和は願ってくるものではない、みんなでつくらないといけない▼人の命や日常が理不尽に奪われていく恐ろしさ。日々の生活や教育に戦争がどう組み込まれていったか。当時の実物資料が物語る企画展も練馬区のふるさと文化館で催されています。自分と重ね、失われたものを想像できるように▼世界がつながり、コロナ禍や災害によって日常が変化し、他者の命を感じあう時代。ともに生きる社会への転換のなかでむかえる、戦後75年の8月です。


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