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2020年7月24日(金)

安倍首相“雲隠れ”1カ月超

課題山積 国会で説明責任果たせ

 感染拡大が続く新型コロナウイルスへの対応、政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」事業をめぐる迷走、豪雨災害の被災者救援と復旧…。安倍晋三首相自らが説明責任を果たすべき問題が次から次へと起きている中、安倍首相の姿が見えません。6月17日の通常国会閉会後、閉会中審査には一度も出席せず、記者会見も翌18日を最後に1カ月以上開かれていません。首相の“雲隠れ”は許されません。(伊藤幸、若林明)


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 安倍首相は22日、新型コロナ感染症対策本部での自らの発言をテレビで放映させる一方で、記者会見を開かず、感染拡大についての質問を受ける場をつくりませんでした。緊急事態宣言解除(5月25日)までは、たびたび対策本部開催後に会見を行っていました。

コロナとGoTo

 東京都で23日に新型コロナへの新規感染者366人を確認。首都圏でも急増しています。名古屋市や大阪市でも過去最多を記録しました。安倍首相は多くの国民が抱える不安にこたえようとはしません。

 PCR検査体制の拡充やひっ迫する医療提供体制への支援、補償と一体での地域と業種を限定した休業要請などの必要な対策を、安倍政権は打ち出さないままです。

 一方で安倍政権は22日、「Go To トラベル」事業を前倒しで開始しました。直前には東京発着の旅行を対象外にすると方針を転換。補償しないとしていた解約料も補償する方針を示すなど二転三転しました。感染拡大のさなか、そもそもなぜ前倒しを決定したのか。方針転換の経過は?――首相の説明が求められます。

買収事件と「森友」

 河井克行・案里両被告が、大規模買収事件で国会閉会翌日の6月18日に逮捕されました。自民党本部から両被告側に1億5千万円もの資金が渡り、その前後の時期に克行被告と首相が面会していたことや、同時期に安倍首相の秘書が案里陣営の関係者と一緒に選挙運動をしていたことが明らかになりました。東京地検特捜部は7月8日、河井夫妻を公職選挙法違反で起訴しました。大規模買収事件への首相の関与について説明が求められます。

 財務省が国有地を不当に値引きして売却した「森友学園」問題では、公文書の改ざんを強制され自殺したとされる財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの妻・雅子さんが国を提訴し、15日に第1回口頭弁論が行われました。雅子さんは、「首相は自分の発言が改ざんの発端になったことから逃げているのでは」と訴えました。安倍首相には、この叫びを受け止めて真相を明らかにする責任があります。

 梅雨前線の影響による豪雨が九州をはじめ各地に大きな被害をもたらしました。被災者救援と復旧は急務です。コロナ禍と豪雨の「二重の打撃」をうけており、従来の枠を超えた直接支援が求められています。閉会中も予算委員会や災害対策特別委員会理事懇談会などで審議が行われていますが、安倍首相の姿は一切ありません。

陸上イージス破綻

 国会閉会直前の6月15日、政府が突如発表した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の秋田、山口両県への配備停止問題でも、説明から逃れ続けています。しかも破綻の責任を明確にしないまま、政府・自民党は代替案として「敵基地攻撃能力」の保有を議論し始めました。先制攻撃は「許されない」としてきた憲法上の立場を蹂躙(じゅうりん)するものです。

 通常国会の閉会前、日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派は、新型コロナ対応や疑惑の説明など審議すべき課題は山のようにあるとして、会期の大幅延長を一致して要求しましたが、与党は延長を拒否しました。

 野党国対委員長連絡会は22日、閉会中審査に出席しない安倍首相に、国会で説明責任を果たすよう求めることで一致しました。

 相次ぐ失策や疑惑で内閣支持率が低迷する中、国会で追及されれば、さらに支持率が落ち込み苦境に陥ると恐れているのでしょうが、国会での説明は国政を担う首相の最低限の責任です。


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