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2020年7月23日(木)

主張

コロナ対策大混乱

根本姿勢を改め立て直し急げ

 安倍晋三政権が、観光需要喚起を狙った「Go To トラベル」事業を開始しました。直前になり、新型コロナウイルスの感染再拡大が深刻化する東京都を除外するなど混乱を繰り返した揚げ句の見切り発車です。延期・見直しを求める国民の声が続出しているにもかかわらず、強引にスタートさせた安倍政権の責任は重大です。政府は、全国的に感染が広がる事態に対しても有効に対処できていません。安倍政権のコロナ危機対応能力に根本から疑義が突き付けられています。姿勢を改め、対策を抜本的に立て直すべきです。

泥縄式対応に批判広がる

 「Go To トラベル」は開始後も、仕組みの詳細がはっきりせず、利用者にも宿泊・旅行業者にも戸惑いと不満が広がるばかりです。21日から各地で行われている事業者への説明会でも要領を得ない説明が続いているとされ、混乱はおさまりません。東京を対象外にした際、政府は利用者にキャンセル料は補償しないとしましたが、それに批判が集中すると一転して補償する方針に変更しました。あまりに泥縄式の対応です。クルクル変わる政府の方針に振り回される国民はたまりません。

 約1・3兆円も投じる「Go To トラベル」事業の制度設計が改めて問われます。コロナで冷え込んだ観光需要に苦しむ業界に対しては、直接支援をはじめ「Go To」事業とは別の形の観光支援策を検討・実行すべきです。

 だいたい東京の感染者が急増しているさなかに、全国に感染者を広めかねない「Go To」事業前倒しを決めた安倍政権の判断そのものが大問題です。重大事態に入りつつあったコロナの広がりを直視しなかったことの表れです。

 安倍政権が感染の広がりの実態を詳細に把握しておらず、データに基づく分析もきちんとされてないことが、21日の政府・与野党連絡協議会の野党側質問で浮き彫りになりました。「Go To」前倒し決定も専門家の意見を聞いておらず、「東京除外で実施」を決めた後、専門家も入る政府対策会議分科会の了解を得たというのが経過です。専門家を軽視するようなやり方を変えなければ実効性ある対策はとれません。感染実態を踏まえないまま「経済活動を優先」したため、感染者数が増加に転じた諸外国の痛苦の教訓を学ぶべきです。

 感染拡大を抑え、国民生活を支えるには、徹底した補償と一体の休業要請を、業種・地域を限り実行することが重要です。PCR検査が積極的にできる戦略的な方針を持つことが必要です。不足が顕在化しつつある無症状・軽症者向けの施設の確保も急がれます。

医療機関の財政支援急げ

 感染者の増加につれ、東京を中心に集中治療室(ICU)などに入る重症者も増えつつあります。重症者の病床数は万全とは言えません。一方、多くの医療機関は、春以降のコロナ対処のため経営は深刻になっています。133大学病院では4、5月だけで計約313億円の損失が生まれました。医療従事者のボーナスが減額される病院も少なくありません。“最後の砦”の医療機関が苦境では、国民の命は守れません。政府の思い切った財政支援が不可欠です。

 感染再拡大が重大局面の中、医療・検査でも経済活動でも安倍政権の姿勢が厳しく問われます。


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