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2020年7月19日(日)

豪雨2週間

泥まみれの家 汗まみれ復旧

熊本・球磨村

写真

(写真)JR渡駅前でバケツを使って泥を運び出すボランティアの人たち=18日、熊本県球磨村

 熊本県南部の広い範囲に浸水被害をもたらした豪雨は18日で発生から2週間となりました。県内の住宅被害は少なくとも全半壊が592棟、床上浸水が5525棟に上ります。なお約2000人が避難所に身を寄せ、69世帯で孤立状態が続いています。

 記録的豪雨と球磨川の氾濫により床上浸水470棟の甚大な被害が生じ、25人が死亡した熊本県南部の球磨村では、猛烈な暑さの中で住民と県内のボランティアが泥まみれになった住宅の片付けに追われました。

 14人が死亡した特別養護老人ホーム「千寿園」がある渡地区では、濁流に押しつぶされた住宅が目立ちます。倒壊した家屋が道路をふさいでいる箇所もあります。

 トラックが通過すると乾いた泥が舞い上がり、住民らは目を覆いました。被災者やボランティアが持ち出した災害ごみやがれきの回収も追い付いていません。

 いまは避難所で生活する、1人暮らしの女性(70)の自宅も2階の屋根の上まで浸水し、無残な姿になっています。氾濫が起きた4日未明に激しい雨の音で異変に気付き、近くの住民と声をかけ合って車で高台に避難したといいます。

 当日の朝に撮影した写真を見せながら「夜明けまで待っていたら命が危なかった。堤防より低い位置に家があるので、何度も浸水は経験しましたが、これほどひどい状況になったのは初めてです」と振り返ります。

続く避難所生活

夜中の足音ストレス

 球磨村では2カ所の避難所が被災し、村内3カ所の公共施設のほか周辺の人吉市や多良木町などに避難所が設けられています。被災者の多くは高齢者で、長期化する避難所生活に不安とストレスを訴えています。

 女性は現在、渡地区から20キロほど離れた多良木町の避難所で生活しています。車での移動は「通常で片道1時間、渋滞に巻き込まれたら2時間ほどかかることもある」といいます。被災から2週間となり「避難所での生活にストレスを感じる」と疲れきった様子です。

 避難所の居住スペースはカーテンで仕切りがあるものの「夜中の足音や周りの様子が気になって安眠できない」と女性は訴えます。

 食事は3食とも弁当が提供されているといいますが、白身魚フライやハンバーグなど高カロリーな食べ物が中心で「朝からは食べきれない」といい、温かい食事の炊き出しを要望しています。

 同村の災害対応の拠点となっている総合運動公園「さくらドーム」では、被災者に食料品や日用品など救援物資を配布しています。

 家族3人で暮らす女性(52)は、自宅が床上まで浸水し、2階で生活しています。

 1階にあった冷蔵庫やテレビ、食器棚などが泥をかぶり、救援物資のカップ麺などを食べているといいます。

 「家が残っただけでも不幸中の幸いですが、家具や家電の買い替えにもお金がかかる。元の生活に戻れるようになるまで何日かかるか分かりませんが、行政の支援がないと困ります」と不安げな様子で語りました。

 (丹田智之)


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