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2020年7月15日(水)

公的マネー

トップ企業の85%、筆頭株主

安倍流市場介入は異常

 株価指数「日経平均」採用銘柄225社の中で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日本銀行による「公的マネー」が事実上の「筆頭株主」となっている企業が192社(85・3%)にも達することが、日本共産党政策委員会の推計で明らかになりました。安倍晋三内閣が進めてきた「公的マネー」による株価対策の異常さが、ますます鮮明になっています。


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 日本の代表的な株価指数である「日経平均」は、東証1部上場企業の中から、産業ごとに代表的な数社ずつ、全部で225社を選んで、その株価を平均して算出しています。この225社には、トヨタ自動車、日本製鉄、三菱UFJ、NTTなど、日本のトップ企業が集まっています。

民間筆頭は28社

 今年3月末時点で、日銀が株価指数連動型投資信託(ETF)を通じて間接的に保有する株式数を推計し、GPIFが7月3日に公表した3月末時点の銘柄別保有株式数と合わせれば、企業別の「公的マネー」が保有する株数が推計できます。これを、各企業の有価証券報告書に記載された「大株主」上位10者の表と比べたところ、図1のようにGPIFまたは日銀が単独で「筆頭」となる企業だけでも170社、「両方をあわせて考えれば筆頭」という企業も含めれば、192社に達します。

 225社中、85・3%に相当する企業で「公的マネー」が筆頭となっていることになります。さらに、残り33社の中にも、日本郵政やNTTなど別の意味で公的資本が筆頭株主となっている企業が5社あり、「民間が筆頭」という企業は28社しかない計算です。

 国営企業が主流を占めている中国のような国ならいざ知らず、日本のような資本主義国で、「トップ企業の85%で公的マネーが筆頭株主」などという国はありません。

株価対策が暴走

 この間、安倍政権は「公的マネー」による株価対策をエスカレートさせてきました。

 ▽2014年10月 年金積立金の株式運用比率を倍増

 ▽16年8月 日銀のETF購入ペースを「年6兆円」に拡大

 ▽20年3月 ETF購入ペースを「年12兆円」に拡大

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(写真)東京都中央区の日銀本店

 この結果、「公的マネーが筆頭株主」という企業数は、図2のように、集計を行うたびに増加してきました。特に日銀が単独で筆頭となる企業が急増、今回の集計では日銀単独がGPIF単独を初めて上回りました。株式市場全体でみると、GPIFが34・8兆円、日銀は推計30・5兆円で、GPIFの方が上回っていますが、日銀はトップ企業の株を高い比率で買っているため、逆転したのです。

 GPIFは、株式運用の割合を引き上げないかぎり、これ以上大幅に株式購入を進めることは困難ですが、日銀は「年12兆円」のペースで購入する方針です。この方針を前提にして機械的に計算すると、図のように、2年後には184企業で日銀が「単独筆頭株主」になってしまうと推計されます。こんな異常な政策を、安倍政権と日銀はいつまで続けるつもりなのでしょうか。(垣内亮 日本共産党政策委員会)


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