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2020年7月10日(金)

主張

広がる豪雨被害

従来の枠超えた強力な支援を

 日本列島に停滞する梅雨前線の影響による激しい雨が被害を広げています。熊本県を中心にした甚大な被害に続き、福岡県、大分県などでは大きな浸水被害や土砂災害を引き起こしました。岐阜県と長野県にも記録的な大雨をもたらし、土砂崩れなどが相次ぎました。梅雨前線は来週にかけて本州付近にあると見込まれており、まだまだ警戒が必要です。経験のないような豪雨に加え、新型コロナウイルス感染の危機のさなかという、これまでと大きく異なる事態です。国民の命を守るため、従来の対策の仕組みの枠を超えた強力な支援が欠かせません。

コロナ下という新事態に

 豪雨に襲われた球磨川流域の自治体では、被災者が家屋や事業所の泥出しや、災害廃棄物の片づけに追われますが、被害はあまりに大きく、作業はなかなか進みません。コロナ感染対策に必要な間仕切りなどがきていない避難所もあります。暑さも厳しくなる中で健康への影響が懸念されます。心身ともに疲弊している被災者は感染症へのリスクも高まります。物的支援とともに、きめの細かい丁寧な支えができる体制がとれるようにすることが必要です。

 自宅にとどまっている被災者に支援が届いていないことが大きな問題になっています。実態を正確に把握し、全ての被災者に速やかに必要な支援物資が行き渡るよう、政府は積極的に役割を果たすことがなにより急がれます。

 多くの温泉街が災害に直撃されました。コロナの影響で5月末まで1カ月以上休業し、やっと営業を再開した矢先に、水害に見舞われた旅館やホテルが数多くあります。コロナと水害という二重の打撃から立ち直るためには、政府による支えがなくてはなりません。すでにある補助制度を速やかに活用できるようにするだけでなく、事業継続できる財政支援の仕組みをつくる必要があります。政府は直ちに検討すべきです。

 農業被害も深刻です。田畑が広範囲で浸水した地域もあります。ビニールハウスが水につかって収穫直前の作物が全滅した農家もあります。営農再開へ向けて希望が持てる支援策が急がれます。地域経済を支えてきた観光や農業などの再建なくして、被災地の再生はできません。

 住宅被害は全体像がつかめていません。天井まで水につかった家屋をはじめ、床上・床下浸水の被害にあった家は、かなりの規模にのぼります。住宅の再建は、被災者が安心して生活できる土台であるとともに、地域の人口減少を防ぐためにも極めて切実な課題です。被災者生活再建支援法の改正をはじめ住宅再建への公的支援の拡充が強く求められます。

命を守るため警戒を強め

 災害の発生の危険は依然続いています。気象庁は、西日本や東日本では10日にかけて局地的に非常に激しい雨があり、12日ごろまで大雨が続くおそれがあるとしています。これまでの大雨で地盤の緩んでいるところも少なくありません。増水している河川もあります。危険箇所や避難体制を点検し、改善をはかるなど備えを強めることは被災地だけでなく、全国各地で不可欠です。かつてない規模の豪雨が頻発する中、国民の命を守り抜く防災・減災を進めるため政府と自治体の責任は一層重要です。


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