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2020年7月6日(月)

主張

熊本の豪雨被害

人命最優先で救援・支援急げ

 梅雨前線の影響で、熊本県と鹿児島県は記録的な大雨に見舞われました。熊本県内では球磨(くま)川が決壊・氾濫したのをはじめ、山間部の土砂崩れなどで大きな被害を出しました。水没した特別養護老人ホームでは、高齢者が犠牲になりました。土砂に押し流され倒壊した家屋では行方不明者の懸命な捜索が続きます。道路が寸断され孤立した地域では住民から救助を求める悲痛な訴えが相次ぎました。住民の捜索・救援活動を強めるとともに、苦難に直面した被災者に寄り添った強力な支援を早急に行うことが重要です。

「あっという間に水が」

 すさまじい豪雨被害から一夜明けた5日、被災地では濁流や土砂に襲われた深刻な状況が次々と伝えられてきました。水に押し流されひっくり返った何台もの自動車、建物の1階に流れ込んだ大量の土砂―。家の屋根などに逃れ救助された人は「あっという間に水が」と恐怖を語ります。球磨川近くにある特養ホームでは、車いすなどのため移動が困難な高齢者を救出しきれなかったとみられます。あまりに痛ましい事態です。

 浸水や土砂崩れで道路がふさがれ、避難できず孤立した人たちも少なくありません。物資を届けることは緊急の課題です。通信も途切れている地域もあり、被害の全体像はまだまだつかめません。

 家屋や店舗の片づけや泥出しも切実です。梅雨前線の北上で再び雨が強くなると警戒が呼びかけられています。地盤が緩んだ地域で被害を広げないための対策が急務です。多くの地域で断水や停電も続きます。ライフラインの復旧に力を注ぐことが求められます。

 避難所に身を寄せる人への支援は待ったなしです。とりわけ新型コロナウイルス感染への警戒が求められる中、自治体任せでなく、政府の積極的な支えが重要です。

 危険な場所にいるのに、感染を心配し避難所に行くことをためらう人が出ないようにしなくてはなりません。避難所が「3密」にならないよう、パーティション(間仕切り)や段ボールベッドなどは必要な数量があるのか。マスクや消毒液は行き届いているのか。今回被災した自治体からは、「全て準備できていない」との声も出ており、これらの物資の提供に政府は責任を負う必要があります。暑さ対策をはじめ、被災者が求める支援が確実に迅速に現場に届くよう政府は役割を果たすべきです。

 避難所で対応にあたる自治体職員の体制強化も不可欠です。コロナ禍では、検温をはじめ避難者の健康管理には、いつにもまして時間と労力がかかります。自治体職員が多忙で疲弊しないために万全の体制が取れるよう、政府は対策を講じるべきです。感染リスクを避けるためのホテルや旅館を避難所として確保することも急がれます。在宅避難者の実情をつかみ親身になって支えることも必要です。避難の中で被災者が命を落とすことがあってはなりません。

豪雨への備えはどこでも

 豪雨などによる甚大な被害は、昨年の台風19号、2年前の西日本豪雨、3年前の九州北部豪雨と常態化しています。地球規模の気候変動との関連も指摘される中、日本列島のどこでも大雨の被害に無縁の地域はありません。住民の命を守り切るため、災害大国の政府の姿勢が改めて問われます。


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