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2020年7月2日(木)

主張

日銀短観大幅悪化

経済の立て直しは待ったなし

 日本銀行が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況判断は、大企業から中小企業まで軒並み大幅に悪化しました。新型コロナウイルスの感染拡大による外出や移動の制限、休業要請が、経済を急激に冷やしたことを改めて浮き彫りにしています。雇用の悪化や企業の倒産も歯止めがかかりません。国民の暮らしと営業を応援し、日本経済を立て直す対策は、いよいよ待ったなしです。

記録的な落ち込み

 日銀の短観は、約1万社の大企業、中堅企業、中小企業を対象に、3カ月ごとに景気の現状や先行きを聞く調査です。景況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた業況判断指数(DI)で、判断します。

 今回発表されたのは6月の調査で、製造業で見ると、大企業のDIがマイナス34、中堅企業がマイナス36、中小企業がマイナス45となり、いずれも劇的な落ち込みです。3月の前回調査で、7年ぶりにマイナスになった大企業製造業は今回一気に26ポイントもの下落となり、6四半期連続で悪化しました。今回の悪化は、リーマン・ショックで落ち込んだ2009年6月以来の低水準です。中堅企業製造業と中小企業製造業もそれぞれ28ポイントと30ポイントの悪化です。

 自動車などの売り上げの落ち込みと、海外からの供給が滞ったことによる鉄鋼などの工場の操業停止が経済を直撃しました。

 非製造業でも、大企業はマイナス17、中堅企業はマイナス27、中小企業はマイナス26となりました。それぞれ3月の調査に比べ25ポイント、27ポイント、25ポイントの悪化という深刻な事態です。宿泊・飲食サービス業は特に悪くなりました。大企業非製造業のDIは、09年12月以来10年ぶりに低い水準です。

 短観以外の経済指標も厳しさを示す数字ばかりです。仕事を求める人に対する求人の割合を示す5月の有効求人倍率は、第1次石油危機の1974年1月以来46年ぶりの大きな落ち込みとなりました。解雇や派遣切りなどで完全失業率も5月は3カ月連続で悪化しました。東京商工リサーチの調査ではコロナ関連の経営破たん(負債額1000万円以上)が、6月末までで294件にも達しています。

 もともと消費税増税で傷ついた日本経済の落ち込みは、コロナによる追い打ちで、リーマン・ショック時を上回るとされます。国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しは2020年の日本の経済成長率はマイナス5・8%と見込んでいます。

 安倍晋三政権のコロナ対策の立ち遅れによって、暮らしと経済にもたらされた大打撃からの回復が進まないのは重大です。日本経済を再建するため、対策の手をこまねいている時ではありません。

国民に行き届く支援を

 コロナの感染拡大の第2波に備えながら、日本経済を立て直すには、政府の責任による医療・検査体制の強化とともに、国民や中小企業にしっかり行き届く支援が必要です。雇用調整助成金や持続化給付金も一刻も早く届けるべきです。消費税の5%への減税は家計を支えるために不可欠です。ドイツは消費税にあたる付加価値税の税率を7月から半年間引き下げると決めました。日本でも、思い切った対策が欠かせません。


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