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2020年6月14日(日)

きょうの潮流

 彩られる自分語り、上書きされた過去。時の権力者にすり寄り、のし上がっていく姿がありありと。いま話題の『女帝 小池百合子』は、彼女の人生とともに政治家とは何かを投げかけます▼ニュースキャスターから政界に転身。国会議員として当選を重ね、環境相や防衛相を歴任。そして都政へ―。マスコミにもてはやされ、男社会のなかで要職にも就きながら、政治家として何を残してきたのだろうかと▼日本新党から始まり、次つぎと乗り換えていく政党遍歴。歴史的使命は終わったと自民党を散々たたきながら、平然とその党に収まる節操のなさ。政界渡り鳥の異名どおり、時々の風に乗って権力闘争を生きのびる一方、市井のことには無関心。そんな姿が浮かびます▼それは、都知事になってからも。4年前、東京大改革と称して掲げた七つのゼロ。残業や満員電車、待機児童や介護離職、多摩格差…。思いつきのような公約にくわえ、築地を守る、五輪の経費や施設を見直すことも、すべて投げすててきました▼コロナ対応も五輪開催にこだわって出遅れ、横文字フレーズばかりの不十分さが際立ちます。都民ファーストをいいながら、人々の悩みや苦しみにむきあわず、みずからの野望を果たそうとする。その姿はどこかの首相と重なります▼「ひたすら上だけを見て、虚と実の世界を行き来している」。著者でノンフィクション作家の石井妙子さんは彼女の人生をそう言い表しています。そこにあるのは、信念なき虚飾の政治家です。


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